バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 


 有害な行為をするよりも(するくらいならば),何もしないほうがいい。世界における有益な仕事の半分は,有害な仕事と闘うことから成り立っている。'事実を正当に評価する'ことを学ぶために少し時間を費やしても,それは時間の無駄とはならない。その後(学習後)になされる仕事は,活力を刺激するために絶えず自我を膨張させる必要のある人たちがする仕事よりも,ずっと有害でなくなる傾向がある。

It is better to do nothing than to do harm. Half the useful work in the world consists of combating the harmful work. A little time spent in learning to appreciate facts is not time wasted, and the work that will be done afterwards is far less likely to be harmful than the work done by those who need a continual inflation of their ego as a stimulant to their energy.
   出典:.(28)The Conquest of Happiness, 1930, chap.16:Effort and resignation.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/HA27-060.HTM

 <寸言>
 「小人閑居して不善を為す」とはよく言ったものです。世の中のためになることを日々やっていて毎日多忙な人がいるかと思えば,暇あるいは余暇時間を持て余して,親や他人や社会に日々迷惑をかけている人もいる。  しかし,そういった人(小人)が為す行為は,他者に迷惑をかけるといってもそれほど規模が大きいわけではない。それに比べて権力者が為す害悪は甚大なものになる。外から観察して悪人とわかる人は,わかりやすいのでいずれ排除されるか,無力化されるが,そうでない場合,自分がやっていることは絶対正しいと信じて権力をふるう人間(いわゆる「善魔」)はやっかいである。特に,周囲の人間が Yes Man (追従者)ばかりになると,はどめが効かなくなる(裸の王様)。最悪の場合は戦争となる。  昔の独裁者は別として,好き好んで戦争をしかける人は,現代においては,独裁的な人間であってもそれほど多くはない。しかし,戦争は最初はたいしたことでなくても,拡大しやすい。ちょっとしたこぜりあいが大きな戦闘に拡大することは,過去の歴史でよくあった。いずも相手国が悪いと言うばかりで,敗戦にならない限りそういった独裁者は反省をしない。勝利した国も同様,自国にも大いに責任があったなどと反省をすることはない。勝てば官軍負ければ賊軍。