バートランド・ラッセルの言葉366G_画像版

n.0010j (Nov. 10, 2016)

     
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  バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 多くの夫婦は、自分の連れ合いが望んでいる快楽へのねたみから、自分の快楽の充足を差し控える。自分の快楽を多少利己的に追求することよりも、他人の快楽に反対することの方がはるかに良くない。また、夫婦間に倦怠感が生まれたり、共通の話題がなくなったりすべきでないとしたら、夫婦間にはある程度の社会的距離が必要である。

Many husbands and many wives will forgo their own pleasures out of jealousy of the pleasures that they imagine their partners as desiring. It is much more harmful to object to other people's pleasures than it is to be a trifle selfish in pursuing one's own.
 出典:Mortals and Others; Bertrand Russell's American Essays, v.1 (1975)
 詳細(PCサイト):http://russell-j.com/MARRIAGE.HTM

[寸言]
 嫉妬心は人間的な感情であり,嫉妬心を否定する(あるいは持たない)ラッセルは人間的でないと非難する人が時々いる。しかし,ラッセルに嫉妬心が「なかった」というのは誤解である。第一次世界大戦中,反戦運動のために,ブリクストン刑務所に約5ケ月入れられるが,恋人のコレットがラッセル以外に愛人をつくったことを知り,ラッセルは刑務所のなかでどうすることもできず嫉妬心に悩まされる。しかし,そのような感情はよくないということで時間をかけて「克服し」,次第に嫉妬心を抱かなくなる。
 ラッセルは1930年に『幸福論』を出版したがその英文タイトルは The Conquest of Happiness だった。即ち,幸福は「棚からボタ持ち」のように努力なしで手に入るものではなく,努力して,いろいろな悪しき感情を克服することによって獲得できるものだという気持ちが込められている。