バートランド・ラッセル 英単語・熟語 m011 - midnight
★ midnight (n)【午前零時,午前0時】
* 山岸勝榮『単語博士-いちばん知りたい暮らしの英語』(小学館2003年2月)p.11の説明:英語の midnight は午前0時ちょうどのことで,日本語の「真夜中」のように漠然と深夜を指す語ではない。]
→ 山岸氏はこのように書きながら,p.12に次のような例文と邦訳を載せている。
*1 Yesterday I came home after midnight. (昨日は「真夜中過ぎに」帰宅した。
*2 The second call came at midnight. (2度目の電話は「真夜中に」かかってきた。)
2つの用例では, midnight に「真夜中」という訳語をあてており,p.11の説明と矛盾している。山岸氏が「"midnight" は午前0時ちょうどのことで,日本語の「真夜中」のように漠然と深夜を指す語ではない」と断言している以上、「*1は,午前零時過ぎに帰宅(午前様)」「*2は,午前零時(頃)に電話」と訳すべきということになるはずである。
しかし,(山岸氏の言うように「午前0時」という意味の場合がほとんどであろうが、Longman Dictionary of Contemporary English では、「12 o'clock at night と the middle of the night」の2つを意味としてあげていることからも,日本語の「真夜中」と訳してよい場合もあると思われる。
1.ラッセルの用例
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[彼女(オットリン・モレル夫人)は、チルターン(ロンドンから北西数キロのところにある丘陵地帯)のペッパードに小さな家を所有しており,彼女はその年の7月をそこで過ごした。私は,ペッパードから6マイルはなれたイプスデンに滞在し,毎日,そこから自転車で通い,正午頃ペッパードに到着し,午前零時頃ペッパードを去った。
出典:ラッセル『自伝』第1巻第7章「再びケンブリッジ大学に」]
Alone in my tower at midnight, I remember the woods and downs, the sea and sky, that daylight showed. Now, as I look through each of the four windows, north, south, east and west, I see only myself dimly reflected, or shadowed in monstrous opacity upon the fog.
[真夜中(午前零時頃),(テレグラフ・ハウスの)塔の室内に独りいて,昼間見た森や高原や海や空を思い出している。今,東西南北の4つの窓を通して外を見るとき,そこに見えるのはぼっと映っている自分,即ち,夜霧の上に奇怪な不透明体となって投影されている自分自身のみである。
出典:ラッセル『自伝』第2巻第4章「再婚」]
ラッセル英単語・熟語1500 |
[ビカール氏とバーロップ博士の二人は、夜11時30分に到着した。そして午前零時(真夜中12時)を少しまわった頃、私たちは合意に達した。声明(文)は、アインシュタインが署名した時の形式を変えるわけにはいかなかった。それに、いずれにせよ、他の署名者たちに声明(文)の修正について同意を求めるには時間が遅すぎた。そこで私は、ジョリオ=キュリーが異議ありとする点は必要に応じてコメントを脚注に加え、かつ、翌朝私が声明(文)のテキストを読みあげる時に説明することを提案した。
出典:ラッセル『自伝 』第3巻第2章「国の内外で」]
2.参考例
He didn't come in till after/past midnight .[ 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.]