バートランド・ラッセル英単語・熟語 dokushu 08 - 抽象名詞の加算・不加算
< 今井むつみ『英語独習法』>
p.241: ・・・本来、英語の名詞は加算か不加算かを決めないと使うことができない。この時、抽象名詞は特に難しい。日本語的な感覚からは、抽象名詞が指すものは目に見えないものだから、みんな不加算のように思えてしまう。しかし、idea のようにほぼいつも可算名詞扱いと考えてよいものもあれば、evidence のようにほぼいつも不可算の名詞もある。しかも、多くの抽象名詞は加算・不可算の両方が可能である。・・・
・・・加算・不加算のどちらがよいかは、今書こうとしている文脈でのその名詞の意味によって決まる。
p.243: ・・・母語話者は、この名詞は基本的に加算、こちらは基本的に不可算、という知識 -というより直感- を持っている。その上で、加算・不可算(に関する)文法のスキーマによって、特定の文脈ではデフォルト(の意味)と違う使い方にシフトする。・・・
p.248: 次に、language と culture をとりあげよう。・・・ language も culture も加算・不可算の両方の使い方があり、その使い分けと長年格闘してきた。これまでは「言語と文化は切り離せないものである」とか「言語は人間の知性の顕著な特徴である」と言いたい時は language を不可算名詞として使い、「彼は2つの言語を話すことができる」「大学では2つの外国語を勉強した」の場合には加算名詞として使う、というような基準でなんとなく使い分けてきた。・・・
p.252:・・・漠然とした総体としての概念は不可算、個別の要素を例に言及する時は加算という一般化が当てはめられそうだ。
ラッセルの用例
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[1938年,オックスフォード大学での「言語と事実」という連続講義において、私はその主題の一部を扱った。]
出典:ラッセル『意味と真偽性-言語哲学的研究』原著者はしがき」
They seemed inclined to treat the realm of language if it were self-subsistent, and not in need of any relation to non-linguistic occurrences.
[彼ら(注:論理実証主義者)は,言語の領域を,あたかもそれのみで自立し,言語以外の存在や出来事に関係付けて考える必要がないものとして取り扱う傾向があるように思われた。]
出典:ラッセル『自伝』第5章「テレグラフ・ハウス時代末期」
ラッセル英単語・熟語1500 |
[(古語ではなく,現代における)外国語(習得)の問題は(注:languages いろいろな国や民族の言語/従って国家レベルの言語だけをいうのではなく,自分の国や民族以外の言語のこと),必ずしも容易な問題ではない。幼年期には,外国語を完璧に話すことを学ぶことが可能である。大きくなってからでは,それは決して達成できない。それゆえ,教えるからには(if at all),(複数の)言語(languages)を幼年期に教えることを支持する強い根拠が存在している。]
出典::ラッセル『教育論』第三部_知性の教育_第15章「14歳以前のカリキュラム」
THE DIVORCE BETWEEN SCIENCE AND 'CULTURE' is the text of an address delivered by Bertrand Russell, on receiving the Kalinga Prize for the Popularization of Science, at UNESCO Headquarters on 28 January 1958)
[科学と文化の分離]
出典:UNESCO Courier, February, 1996: THE DIVORCE BETWEEN SCIENCE AND `CULTURE'」
[歴史の古い文化にはそれ相応の価値を伴うある種の深みと堅固さがある。しかし,現在残っている奇異な衣装や称号や習俗などは,世間の浅はかな興味を呼ぶためにハリウッドの映画産業によって利用されるものにすぎない。]
出典:ラッセル『アメリカン・エッセイ集』の中の「嫌われる外国人旅行者」