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バートランド・ラッセル 権力 第12章 (松下彰良 訳) - Power, 1938, by Bertrand Russell

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第12章 権力と統治形態 n.10 - 王位継承権の主張


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 それは(やすやすと征服者に屈服するのは),中枢に近い集団(inner group)における(王/君主に対する)忠誠心及び一般住民における恐怖心の動機は,非常に単純かつ容易なものであり、主権国家の領土(注:area 主権の及ぶ範囲)の拡大はほとんど全て征服によってなしとげられてきたものであり、自発的な連合によってなしとげられてきたのではないからである。それにまた、そういった理由があるからこそ、君主政治は歴史上においてそのような大きな役割を演じてきたのである。
 けれども、君主政治には非常に大きな不利益がある。(即ち)君主政治世襲制の場合には、統治者(支配者)が(歴代)有能であり続けることがありそうもなく、またもし王位継承法に何らかの不安定性があると、王家内での戦い(内乱)が起こるであろうからである。東洋においては,新しい統治者は、まず最初に自分の(男の)兄弟を殺害するのが普通であった。しかし,もし兄弟のうちの誰かが逃亡すると,その者(逃亡した者)は処刑されることを避ける唯一の機会(chance 見込み)として、王位継承(の権利)に対する主張を行った。たとえば,マイヌッチ(注:Niccolao Manucci イタリアの作家、旅行家でムガル宮廷で働いた経験あり)の『ムガル帝国の歴史』(Mainucci's Storia do Mogor)を読むとよい(注:みすず書房版の東宮訳では「モンゴル帝国」になってしまっている)。この書物にはムガル帝国を扱っており、王位継承の戦いが何よりもムガル帝国の力を弱めたことを明らかにしている。我が国(英国)においては、薔薇戦争がそれと同様の教訓を強調している(point the same moral)。

Chapter XII: Powers and Forms of Governmants, n.10

It is because the motives of loyalty in an inner group and fear in the general population are so simple and easythat almost all enlargement in the areas of sovereign States has been by conquest, not by voluntary federation ; and it is also for this reason that monarchy has played such a great part in history.
Monarchy has, however, very great disadvantages. If it is hereditary, it is unlikely that the rulers will continue to be able; and if there is any uncertainty about the law of succession, there will be dynastic civil wars. In the East, a new ruler usually began by putting his brothers to death; but if one of them escaped he set up a claim to the throne as the only chance of avoiding execution. Read, for example, Mainucci's Storia do Mogor, which deals with the Great Moguls, and makes it evident that wars of succession did more than anything else to weaken their empire. In our own country the Wars of the Roses point the same moral.
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(掲載日:2017.12.09 /更新日: )