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バートランド・ラッセル 教育論 第二部_性格の教育_第11章_愛情と同情(松下 訳) - Bertrand Russell On Education, 1926

前ページ(Back)  次ページ(Forward) Chap. 11 Index Contents(目次)

第二部_性格の教育_第11章_愛情と同情 - 我が子に対する正しい愛情


ラッセル著書解題
 親に対してどのような態度を子供に期待すべきかについて,私たちの考えをはっきりさせておくこともまたよいことであろう。親が我が子に対して正しい愛情を持っているならば,子供の反応は,まさに親の望みどおりのものになるだろう。子供たちは --何か楽しい遊びに夢中になっているのでないかぎり-- 親が自分の方にやってくれば喜び,行ってしまえば悲しむ。子供たちは,肉体的なことでも,精神的なことでも,困ったことが生じれば親の助けを求める。即ち,子供たちは,思いきって冒険をしようとするであろうが,それは,背後に親の保護を当てにしているからである。だが,この感情は,危機に陥った瞬間を除いてほとんど意識にのぼってこないであろう。子供たちは,親が自分の質問に答え,子供にとって困難な問題を解決し,骨の折れる仕事を手伝ってくれることを期待している。親が子供のためにしてやることは,大部分,子供の意識にはのぼらない。子供は,親が好きになるだろうが,それは,食事や住むところを与えてくれるからではなく,いっしょに遊んでくれ,子供にとって目新しい事物のやり方を教えてくれ,世の中のいろんな話をしてくれるからである。子供たちは,両親が自分を愛していることをしだいに理解するだろうが,それは,あたりまえの事実として受け取られなければならない。子供が両親に対して感じる愛情は,よその子供たちに対して感じる愛情とはまったく異なるものであろう。親は子供のこととの関連で(念頭において)行動しなければならないが,子供は自分自身と自分の外の世界との関連で(念頭において)行動しなければならない。ここが本質的に違うところである。子供は,親との関連で果たすべき重要な役割をまったく持っていない。子供の役割は,知恵と身体において成長することであり,子供がそのように成長している限り,健全な親の本能は満足するのである。

Pt.2 Education of Character - Chap.11 Affection and Sympathy

It is as well to be clear in our own thoughts as regards the attitude we are to expect from children to parents. If parents have the right kind of love for their children, the children's response will be just what the parents desire. The children will be pleased when their parents come, and sorry when they go, unless they are absorbed in some agreeable pursuit; they will look to their parents for help in any trouble, physical or mental, that may arise ; they will dare to be adventurous, because they rely upon their parents' protection in the background -- but this feeling will be hardly conscious except in moments of peril. They will expect their parents to answer their questions, resolve their perplexities, and help them in difficult tasks. Most of what their parents do for them will not enter into their consciousness. They will like their parents, not for providing their board and lodging, but for playing with them, showing them how to do new things, and telling them stories about the world. They will gradually realize that their parents love them, but this ought to be accepted as a natural fact. The affection that they feel for their parents will be quite a different kind from that which they feel for other children. The parent must act with reference to the child, but the child must act with reference to himself and the outer world. That is the essential difference. The child has no important function to perform in relation to his parents. His function is to grow in wisdom and stature, and so long as he does so a healthy parental instinct is satisfied.

(掲載日:2015.05.16/更新日: )