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バートランド・ラッセル 私の哲学の発展 - My Philosophical Development, 1959, by Bertrand Russell

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第18章 「批評に対する若干の返答」その2_論理学と存在論 09


ラッセル英単語・熟語1500
 数理論理学(記号論理学)がなすことは、存在論的地位が疑わしい可能性があるようなところで存在論を確立することではなく、 むしろ、ひとつの対象を指示するという直截的な意味をもつところの語の数を減らすことである。自然数は全て実体であるというのは、以前には、普通の(常識的な)な見方であった。そして自然数は全て実体であるとまでは言わない人でも、1という数はひとつの存在者であることと信じていた。(訳注:少なくとも1という数は実体であると信じていた。) 我々はそれが真でない(1という数は実体ではない)という証明はできないけれども、数学がそういう考えの証拠を何も与えないということは証明できる(のである)。

 最後に(言えば)、「普遍者は存在するか」という問いは多義的(曖昧な言い方)である。いくつかの解釈では、たしかに「そうである(存在する)」と答えることができる。他のいくつかの解釈では、現在のところ、決定的な答えはまったく可能ではないように思われる。普遍者の存在論的地位につい私が主張しうることは、私の『意味と真理の探究』(An Inquiry into Meaning and Truth)の最終章に述べてある。

Chapter 18: Some Replies to Criticism, n.2_9

What mathematical logic does is not to establish ontological status where it might be doubted, but rather to diminish the number of words which have the straightforward meaning of pointing to an object. It used to be a common view that all the integers were entities, and those who would not go so far as this were at least persuaded that the number 1 is an entity. We cannot prove that this is not the case, but we can prove that mathematics affords no evidence for it.

Finally, the question 'Are there universals?' is ambiguous. In some interpretations, the answer is certainly ‘yes' ; in others no decisive answer seems possible at present. What I have to say about the ontological status of universals is contained in the last chapter of An Inquiry into Meaning and Truth.
(掲載日:2022.07.25/更新日: )