(本館)  (トップ) (分館)
バートランド・ラッセルのポータルサイト用の日本語看板画像

バートランド・ラッセル 自伝 第3巻第1章 - 唯一の詩の本(松下彰良 訳)- The Autobiography of Bertrqand Russell, v.3

前ページ 次ページ v.3,chap.1 (Return to England) 目次 Contents (総目次)

第3巻第1章 英国への帰国

 悪夢,幻想や空想,その他,私が創作した小説(虚構作品)の上記以外のものは,その後,『事実と虚構』(Fact and Fiction, 1961)の創作の部(注:第二部)に収録された。(注:音羽書房から出された『事実と虚構』には残念ながら,第一部「事実」の部分しか収録されていない。)私は批評家が,この本の書名と内容に関して,ウィットのある言葉でからかってくれることを期待していた。しかしそのようなことは起こらなかった。この本の中の「ラ・ロシュフコーの格言(集)」はかなりの楽しみを私に与えてくれた。(ラ・ロシュフコー公爵フランソワ6世:1613-1680:フランスの貴族,『箴言集』で有名).そうして,私は,その格言集に定期的に格言を追加してきた。『善良な市民のためのアルファベット(The Good Citizens' Alphabet, 1953)の製作は私を非常に楽しませくれた。この本は私の友人のテマーソン兄弟によってギャバーボカス社から発行された(ラッセル注:ギャバーボカス Gabberbochus というのは,ジャバーウォッキ Jabberwocky のポーランド語だということである/松下注:『鏡の国のアリス』の中の『ジャバーウォッキ』というナンセンスな詩に登場する怪物)。その本の挿絵は,フランチスカ・テマーソンによって,極めて巧みに,また美しく描かれ,私が最も強調したいと望んでいたあらゆるポイント(要点)をその挿絵は強調してくれた。彼らはまた,世界の終わりに関する精神の戯れ(jeu d'esprit),即ち'短い世界の歴史'も,私の90歳の誕生日記念として,小型の金糸本にして,出版してくれた。私が冒険を試みた唯一の詩の本は,ヒューマニスト・オブ・アメリカ社から出版された。この本は -(からかっているようで)ルイス・キャロルには申し訳ないが- 『高位聖職者とソ連人民委員』というタイトルがつけられている。

* この後に書簡集(42通の往復書簡)が続きますが,書簡集については「改訳作業」が終わってから適宜邦訳することにして,第3巻第2章に進むことにします。

v.3,chap.1: Return to England


ラッセル関係電子書籍
 (Kindle本)一覧
Others of my stories, nightmares and dreams and so forth, later formed the fiction part of my book Fact and Fiction. I had expected reviewers to make witticisms at my expense in regard to the title and contents of this book, but this did not occur. My 'Maxims of La Rochefoucauld' contained in it afforded me considerable amusement and I have added to them periodically. The making of my Good Citizens' Alphabet entertained me greatly. It was published at their Gabberbochus (which, I am told, is Polish for Jabberwocky) Press by my friends the Themersons with exceedingly clever and beautifully executed illustrations by Franciszka Themerson which heighten all the points that I most wanted made. They also published my jeu d'esprit on the end of the world, a short History of the World, for my ninetieth birthday in a little gold volume. My only venture into verse was published by the Humanists of Ameriea and is called - with apologies to Lewis Carroll - 'The Prelate and The Commissar'.
(掲載日:2009.06.21/更新日:2012.2.16)