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バートランド・ラッセル自伝 第1巻第1章 = The Autobiography of Bertrand Russell, v.1

前ページ 次ページ 第1巻 第1章(幼少時代)累積版 総目次

厳しい母方の祖母 (松下彰良・訳)

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 私が7歳の時,祖母は数ヶ月間ロンドンに一軒の家を借りたが,私が以前より頻繁に(亡き)母の実家の人々に会うようになったのはそれからのことであった。母の父(すなわち,ラッセルの母方の祖父)は亡くなっていたが,私の母の母(すなわち,ラッセルの母方の祖母),レディ・スタンレイ・オブ・オルダーレイ (1807-1895)ドーヴァー・ストリート40番地の大きな家に娘のモードと一緒に住んでいた(ラッセル注-ドイツの電撃作戦によってこの家も完全に破壊された)。レデイ・スタンレイと昼食を一緒にするために,しばしば私はその家に連れてゆかれたが,食事はおいしかったけれども,楽しかったかというとそれは疑わしかった(→あまり楽しくなかった。)。というのは,彼女は話し方が辛らつであり,年齢や性別を考慮して寛大に扱うということは決してしなかった。彼女のいるところでは,私はいつも内気になって(物怖じして)神経が消耗させられたが,スタンレイ家には,シャイな人(内気な人)はいなかったので,そのことも,彼女をいらだたせた。私は良い印象をあたえようとしていつも必死の努力をしたが,それらの努力は私が予想できない方法でいつも失敗した(訳注:「but they would fail in」の中の「they」は「スタンレイ家の人々」ではなく、「様々な努力」)。(たとえば)私は彼女に,最近7ケ月の間に身長が2.5インチのびた,だから,この調子でいけば1年間では4インチ+2/7インチのびることになると話した。彼女は言った。
「1/2と1/4以外は,けっして分数をつかってはいけないということがわかりませんか? 知ったかぶりです!(ペダンチックですよ),」
(右下イラスト出典:B. Russell's The Good Citizen's Alphabet, 1953)
「はい,わかりました」
と私は答えた。彼女は,モード叔母さんの方を向いて言った
「この子は,父親に何とまあ似ているんでしょうねえ」
どういうわけか,この出来事にみられるように,私の最善の努力はいつも実を結ばなかった。

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My grandmother took a house in London for some months when I was seven years old, and it was then that I began to see more of my mother's family. My mother's father was dead, but my mother's mother, Lady Stanley of Alderley, lived in a large house, No. 40, Dover Street,(* Completely destroyed in the Blitz) with her daughter Maude. I was frequently taken to lunch with her, and though the food was delicious, the pleasure was doubtful, as she had a caustic tongue, and spared neither age nor sex. I was always consumed with shyness while in her presence, and as none of the Stanleys were shy, this irritated her. I used to make desperate endeavours to produce a good impression, but they would fail in ways that I could not have foreseen. I remember telling her that I had grown 2.5 inches in the last seven months, and that at that rate I should grow 4+2/7 inches in a year. 'Don't you know', she said, 'that you should never talk about any fractions except halves and quarters? - it is pedantic!' 'I know it now', I replied. 'How like his father!' she said, turning to my Aunt Maude. Somehow or other, as in this incident, my best efforts always went astray.