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バートランド・ラッセルに関するQ&A[質問]ラッセルが影響を与えた文学者(小説家、詩人など)及びラッセルが影響を受けた文学者について教えてください。[回答](2005年10月24日) ラッセルは、専門分野以外では、歴史の本を一番多く読み、次に文学関係の本をたくさん読んだと、何ケ所かで書いています。(参考:大竹勝「文学者としてのラッセル」) (1) ラッセルが影響を受けた文学者(小説家、詩人、その他) 愛読書と影響を受けた本とは、別です。ラッセルが一番影響を受けた文学者は、無神論者のシェリーと言ってよいと思われます。シェリーの詩(と人物)に大きな影響を受けていることを、ラッセルは「自伝」他、いろんなところで述べています。(参考:Tanyrallt のシェリーについて) ラッセルはホイットマンの詩も愛読していますが、大きな'影響を受けた'といえるかどうかはわかりません。 影響を受けたかどうかはわかりませんが、ラッセルの愛読書ならいっぱいあります。いうまでもなく、シェークスピアやミルトンの全作品、J.オースティンの心理小説、アガサ・クリスティーの推理小説、その他、非常に多くの作品を愛読しています。 現在ラッセルのホームページ上に連載している『ラッセル自伝』にもいろいろでてきます。いちいちあげませんが、覗いてみてください。 (2) ラッセルが影響を与えた文学者(小説家、その他) ラッセルが影響を与えた文学者というのも「多義的」です。ラッセルから「思想的に」影響を受けたが、小説の実作には大きな影響は受けなかったということもありえます。広い意味(思想的に影響を受けたということ)であれば、かなりの数の文学者が影響を受けたと予想されます。狭い意味にとれば、余り多くないだろうと思います。 ラッセルから影響を受けた小説家としては、まず第一に、サマセット・モームをあげる必要があります。モームは、モームの精神的自伝ともいうべき『要約すれば』(新潮文庫)で、もっとも影響を受けた思想家としてB.ラッセルをあげています。次のホームページにも説明がありますのでごらんになってください。 ★田中睦夫「ラッセルとモーム」 TANA-M01.HTM ![]() それから、「影響」という場合、ラッセルの思想に「共鳴」という形で影響を受ける場合だけでなく、「反発」という形で影響を受けることもあります。後者では、D.H.ロレンスがあげられます。その小説のいくつかにラッセルが現れますが、『恋する女達』では、ジョシュア卿として登場します。 ★柴田多賀治「D. H. ロレンスと B. ラッセル」 cool/SIBATA.HTM 日本の小説家としては、有名ではないですが、プロレタリア小説家の貴司山治という人がいます。次のページをごらんになってください。 「霊の審判」 芥川賞作家の柳美里も影響を受けているかもしれません。発売禁止となった『石に泳ぐ魚』に、ラッセルの『幸福論』がでてきます。次の裁判記録にもでてきます。 https://www.kyoto-su.ac.jp/~suga/hanrei/11-1.html (引用)[30](14)T女は上野に在住しており、この日、被告柳と原告は叔母の家に宿泊した。被告柳は、原告が当時読んでいたバートランド・ラッセルの「幸福論」を欲しがった。原告は、同じものを書店で買ってあげると言ったが、被告柳が原告が施した下線や書込みの入っているものが欲しいと言ったので、同被告に右書籍をあげた。(小説中対応部分69ないし72頁)それから、ラッセルと同じく、ブルームズベリー・グループの一員であり、1901年に「ケンブリッジ使徒会」の会員(ラッセルは、1892年、学部生2年の時に会員となる)であったE.M.フォースターもラッセルの影響を受けていると思われます。E.M.フォースター(Eward Morgan Forster, 1879年1月1日-1970年6月7日))は、『インドへの道』などの小説で著名な作家です。 (映画化された作品) https://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=5551 (参考) https://gc.sfc.keio.ac.jp/class/2003_14449/slides/05/5.html ちなみに、大阪大学の村田幸範さんという博士課程の学生が、次のような研究発表をされているようです。 ★村田幸範(D1) 発表題目:『E. M. Forsterの幾何学的空間認識と物語時間:A Passage toIndia とThe Longest Journey に見るBertrand Russellの影響』 https://www.let.osaka-u.ac.jp/eibei/Dannwakai.html ← 今はもう記事はなくなっているようです。 |