ボルネオの首狩り族の間では,この行動は何ら道徳的ハッタリの必要抜きで承認されるに反して,文明国民は自分の低俗な感情の発散を,高貴な倫理感情の衣裳で包まずには満足に享受しえない。殺人者に対してならば,首狩り族と同じ野蛮な衝動を発散させても,民衆はそれを野蛮とも邪悪とも意識せず,逆に自分を徳性と善良な市民意識の持主だと信ずることができる。
Among the head-hunters of Borneo it is indulged without the need of any moral claptrap, but civilised people cannot adequately enjoy the indulgence of their baser passions until they have cloaked them in a garment of lofty ethical sentiments. When people let loose sup on a murderer the savage impulses of the head-hunter, they feel neither savage nor wicked but believe themselves to be upholders of virtue and good citizenship.
出典: Interest in crime (written in Dec. 21, 1932 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975.
詳細情報:http://russell-j.com/CRIME-I.HTM
<寸言>
このエッセイに書かれていることは,犯罪心理学,群集心理学の良い題材です。ライブドア事件主役のホリエモン(堀江貴文),事件露見前にホリエモンを持ち上げた世間や政治家やマスコミ,犯罪露見直後のホリエモンの後悔,ホリエモン犯罪露見後にホリエモンを糾弾する人々やマスコミの反省のなさ,・・・。
野蛮な衝動を発散している時には,自分に対してそういった攻撃がなされるようなことはまさかあるはずがないと考える。しかし,ひとたびそのような目に遭うと、自分が過去にやってたことを忘れ・・・。