バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 我々はいつも変化は必要だと口癖のように言うけれども,そのことを頭のなかでは(理屈の上では)分かっていても,現実における変化には耐えられない。それゆえ,年取った急進派は,彼が無力であるかぎり幸せになれるという悲しい身の上にある。即ち,彼は,いつも行ってきたことはいかなることも,変革の唱道を含め,ほとんど一切やめることはできないが,当然のこと変革の実現自体は含まれていない。

We may remain intellectually convinced of the necessity of change since this is one of our fixed verbal habits, but we cannot bear actual change. The aged radical is therefore in the sad situation that he can only be happy so long as he is ineffective; he cannot stop doing any of the things that he always has done, including the advocacy of change, but not of course including its actual realisation.
 出典: The menace of old age (written in Aug. 27, 1931 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:http://russell-j.com/RONEN.HTM

 <寸言>
 自分はまだ若いと思っていても,誰もがいづれは年をとります。ですから,老人を粗末に扱う社会をつくれば,将来自分で自分の首をしめることにもなりかねません。 長生きをしたいと思う人は多く,その意味では日本が世界一の長寿国である事実は喜ぶべきことかもしれません。
 しかし長寿社会は,手放しでは喜べないことがたくさんあります。ラッセルは今から約80年前(1931年)に,高齢化社会の到来が,将来大きな問題となることを早くも指摘しています。 ラッセルの文章に親しんでいない人はラッセルの冗談をそのまま受け取ってしまいがちですが,この文章も本気の部分と冗談の部分を取り違えないよう,注意が必要だと思われます。