バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 (ものを作る)過程に喜びがある場合,そこには必ずスタイルがあり,従って生産活動はそれ自体,美的特質を持つに至るだろう。しかし,人間が機械に同化し,仕事の結果のみに価値をおき,仕事それ自体を軽視するならば,スタイルは姿を消し,機械に同化した人間には普通に思われるが実際はただずっと野蛮なもののみがそれに取って代わる。

Where there is delight in a process, there will be style, and the activity of production will itself have aesthetic quality. But when men assimilate themselves to machines and value only the consequences of their work, not the work itself, style disappears, to be replaced by something which to the mechanised man appears more natural, though in fact it is only more brutal.
 出典: In praise of artificiality (written in Sept. 9, 1931 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975
 詳細情報:http://russell-j.com/ARTIFICI.HTM

 <寸言>
 通常,「手段」という言葉は,「ある目的を実現するためのもの」という意味合いで使われています。これに対し,プラグマティストのJ.デューイは,個々の目的は「より高次の」目的のための「手段」にすぎないとします。最高次の目的を「人類の幸福」におくことに対しても異論を唱える人はいると思われますが,このエッセイの中でラッセルは,(常識的な意味合いで)人類の幸福を最重要なものとし,(科学技術や機械等の利用において)手段と目的をとりちがえないよう,警鐘をならしています。70年前に書かれたものですが,傾聴に値すると思われます。