今の世の中には,時間のゆとりがほとんどないが,それは昔よりも人々が忙しく働いているからではなく,楽しみを持つことが仕事同様に'努力を要する事柄'になったためである。その結果,人間は小利口にはなったが,知恵が少しずつ蒸留されるゆったりと考える時間(余裕)を持てないために,知恵は減少してしまった。
In the modern world there is hardly any leisure, not because men work harder than they did, but because their pleasures have become as strenuous as their work. The result is that, while cleverness has increased, wisdom has decreased because no one has time for the slow thoughts out of which wisdom, drop by drop, is distilled.
出典: The decay of meditation (written in Nov. 7, 1931 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975
詳細情報:http://russell-j.com/MEDITATE.HTM
<寸言>
「小利口な」人間が多すぎる。
教育も「促成栽培」が求められる。だから,哲学や思想を扱うような文系の学問は,文科省から廃止あるいは「より広い視野を持つ」「短期的な成果を出しやすいもの」に転換を求められる。そうしないと補助金をカットするよ、と・・・
http://russell-j.com/KINYOKU.HTM