バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 (政治的な)宣伝は、友好的な感情をかき立てようとするときよりも、憎しみをかき立てるときのほうがずっと効果的であるのはなぜか。その理由は、現代文明が作りあげた人間の心情は、友情よりも憎しみに傾きやすいからである、というのは明らかである。そして、人間の心情が憎しみに傾き易いのは、人々が満たされていないからであり、また−−恐らく無意識的にさえ−−どういうわけか、人生の意味を見失ってしまい、また、人間が享受すべく自然が差し出しているもろもろの良き物を、自分たち自身ではなく、たぶん他の人びとが確保してしまっていると,心の奥底で感じているからである。

Why is propaganda so much more successful when it stirs up hatred than when it tries to stir up friendly feeling? The reason is clearly that the human heart as modern civilisation has made it is more prone to hatred than to friendship. And it is prone to hatred because it is dissatisfied, because it feels deeply, perhaps even unconsciously, that it has somehow missed the meaning of life, that perhaps others, but not we ourselves, have secured the good things which nature offers man's enjoyment.
 出典: The Conquest of Happiness, 1930, chap.6: Envy
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/HA16-080.HTM

 <寸言>
 相手が政府であっても,「宣伝」には最大限注意が必要。「宣伝」にはキャッチフレーズが効果的ですので,権力者,支配層,その他(権力者でなくても)悪意が潜んでいる団体や組織は,同じ言葉(キャッチフレーズ)を繰り返す。 そういった意味では,メディアリテラシー教育が重要だが,残念ながら,日本では ほとんど行われていない。政府も文部科学省も,「事実と宣伝を峻別し,自分で正しい判断ができるような教育」よりも,(自意識が発達する前に))子供のうちに 「愛国心や愛国心涵養のための歴史教育」に力をいれようとしている。たとえば,表面では 「戦略的互恵関係」とかなんとか繰り返し言っていても,経済以外は,中国や韓国をけなして,相対的に日本(結局は自分たち権力者)を褒めるような言動がめだつ。