バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 もう一つの、失望を抱かせたテレビ関係の出来事は、ルーズヴェルト夫人,(米国大統領夫人)、ブースビー卿、ゲイッケル氏(英国労働党党首)と私の4人で、核問題に関して論じあった、BBCの番組(注:Prospects of Mankind 視聴←ダウンロードに少し時間がかかります!)であった。ルーズヴェルト夫人は、'共産主義に屈服するよりは人類を破滅させた方がましであり、彼女自身その方を好む'という信条を述べたが、それを聞いて私はぞっとした。私は正確に聞き取らなかったのかもしれないと思いつつスタジオを去った。しかし、翌朝の新聞で彼女の言ったことを読み、彼女が実際にこの危険な見方を述べたという事実に直面せざるを得なかった。

Another disappointing TV occasion was a BBC discussion of nuclear matters by Mrs Roosevelt, Lord Boothby, Mr Gaitskell, and myself. I was horrified to hear Mrs Roosevelt enunciate the belief that it would be better, and that she would prefer, to have the human race destroyed than to have it succumb to Communism. I came away thinking that I could not have heard aright. Upon reading her remarks in the next morning's papers I had to face that fact that she really had expressed this dangerous view.
 出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3 chap. 3: _Trafalgar Square, 1969
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB33-110.HTM

 <寸言>
 個人がどう思おうと,「思うだけであれば」勝手であるが,公の席で大統領夫人が好きなことを言ってよいということにはならない。 「共産主義に屈服するよりは人類を破滅させた方がましであり、その方を好む」と思うだけならばとやかく言えないが,公の席で権力者(の妻)が言えば,単なる私人の考えではすまされない。それに,「人類を破滅させるくらいなら、共産主義に屈服する方がよい」と考える人たちの命まで大統領夫人が決める権利はない。