我々人類の道徳は'禁欲的な'ものであり、労働を美徳と見なしている。その結果、生産は善であり、消費は悪となる。この禁欲主義的偏見が、世界(人類)の半数は過剰生産のために貧しく、他の世界(人類)の半数は過少消費のために貧しくなっている今の世界の制度(体制)を生み出した。
Our morality is ascetic, which makes us regard work as a virtue; it follows that production is good and consumption is bad. This ascetic twist has produced a world system in which half the world is poor because it produces too much and the other half because it consumes too little.
出典:Mortals and Others; B. Russell's American Essays, v.1
詳細情報:http://russell-j.com/GO-MAD.HTM
<寸言>
いや,現代社会では,消費を重視しているのではないかと思われるかも知れないが,実際はそうはなっていない。確かに自分が消費したり,余暇を楽しむのはよいことだと思っている人が多いだろうが,自分の部下があまり生産活動をしないで余暇を楽しんでいると余りよい気持ちがしない人が多い。そうしてお互い足をひっぱりあって一生懸命働き、他人の仕事やポストを奪っている。
支配・統治・管理する者は,配下にある者が余暇は最小限にして働き続けることを好ましく思うという傾向がある。組織の維持・発展が第一であり,愛国心教育や道徳教育の教科化も,国民一人ひとりの幸福よりも,国家や社会の発展に力をそそぐ,従順な国民の育成を目指したものと言える。