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ラッセル『権力』(松下彰良・訳)

Power; a new social analysis, by Bertrand Russell
(London; George Allen & Unwin, 1938)


総目次

第11章 組織体の生物学 イントロ累積版

  1. 我々はこれまで,権力の最も重要な心理的源泉である諸感情について検討してきた。

  2. 権力は主として組織に依存しているが,しかし全てがそうであるわけではない。

  3. 完全に民主的な政治体制(政府)であってさえ − もしそういうものがありうるとしての話だが − 権力の再配分が(必然的に)伴う。

  4. 権力を求めてする競争(権力闘争)には二種類ある。

  5. 組織体に違いが生じる(可能性がある)2つの重要な点がある。

  6. このことの最も明らかな例は国家である。

  7. 今 (just) 述べたきたことは抽象的すぎて,(部分的)修正なしでは真実とは言えない。

  8. アメリカ合衆国は,国家(というもの)は征服可能なもの(国や地域)を(全て)征服するという(一般)原則に対する例外だ,と主張する人がいるかも知れない。

  9. 権力の集中は,政治の領域においては,常に支配者によって追求されきたものであり(であるが),それは常に被支配者によって抵抗されてきたというものではなかった。

  10. ローマ帝国は,マケドニア人を通して(経由で),ペルシャ人から道路(整備)による中央政府の強化の仕方を学んだ。

  11. 蒸気船,鉄道,そうして,最後には飛行機が,(諸国)政府が遠隔地に対して迅速に権力を行使することを可能にした。

  12. メッセージの伝達の(絶対的な)迅速さだけが重要ではなく,メッセージが人間が旅するよりも速く移動する(travel 旅する)ということ(事実)も,いや,それがよりいっそう,重要である。
  13. (ここで)技術的な要因は遠隔地(at a distance 少し離れたところ)に対して国家権力をふるうことを容易にする方向にばかり働いてきた(作用してきた)わけではない,ということに気づくべきである。

  14. 権力の密度,あるいは組織体の強度(といってもよいであろうが)に関して,そこに含まれている(諸)問題は,複碓かつ非常に重要である。

  15. 自立を愛することというのは,大部分の場合,外的な干渉を抽象的に嫌悪することではなく,政府が望ましいと考る何らかの形の統制 − (たとえば)酒類製造販売禁止(prohibition),徴兵制,国教信奉(religious conformity 英国国教会などの信奉)、その他を嫌悪することである。
  16. 国家以外の組織体は(も),武力を使用できないこと以外は,大部分,我々がこれまで考察してきたものと同種の(諸)法則に支配されている。

  17. 政党は,最近に至るまで,とても緩やかな組織(体)であり,そのメンバー(成員)の活動を統制しようとする試みはほとんどしてこなかった。

  18. しかし,全ての政党において組織化の程度(density 密度)は非常に増してきたけれども,その程度は,民主主義政党の間においては,共産主義者やファシスト(全体主義者)やナチスの間においてよりは,いまだはるかに小さい(注:あくまでも1938年の時点)。
  19. 経済組織の規模の成長(拡大)は,マルクスに権力の力学に関する彼の見方を示唆した(思いつかせた)。

  20. 異なってはいるが両立しないということはない(両立の可能性のある)目的をもった二つの組織体が,合体(coalesce 融合)して一つになる場合,その結果(できあがる組織体)は,合体以前のどちらか一つの場合よりも,また両者を(融合させず単純に)一緒にした場合よりも,ずっと強力なものとなる。
  21. 個人の諸欲求は,(似通ったものを)集めて幾つかのグループに分けることができる。

  22. 神学は,この種の(感情の)限界(感情に限界を与えるもの)についての例を(いろいろ)与えてくれる。
  23. このように,個人に訴えかけるものを,誇り,ねたみ,憎しみ,軽蔑,競争の喜び(原注:私は,メアリルボーン・クリケット・クラブ Marylebone Cricket Club のような,たった一つの統治権限(governing authority)の範囲内で組織化できる単なるスポーツ競技は除外する。)といった動機から引き出す組織(体)は,もしその組織が世界的な規模の場合には,その目的を達成することはできない。

  24. 私は(これまで),一つの組織(体)の成長及びその組織(体)の競争相手との競争について話してきた。
  25. けれども,あらゆる組織体は死すべきもの(消滅すべきもの)であるという理由は全くない。

第12章 権力と統治形態