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英国政府が非常に愚かにもカイザー(注:ドイツ皇帝にして、ヴィクトリア女王の孫)をスピットヘッドでの海軍観閲式に出席させたとき、彼の心に浮かんだ考えは、我々が意図したものではなかった。彼が思ったのは 「祖母(ヴィクトリア女王)に負けない海軍を持たなければならない!」(だった)。そうして、この考えからその後の全てのトラブルが生まれたのである。もし貪欲が対抗心よりも常に強ければ、世界は今よりももっと幸せな場所になるだろう。しかし実際には、競争相手を完全に破滅させることができるならば、多くの人間は喜んで貧困に直面するだろう。
But acquisitiveness, although it is the mainspring of the capitalist system, is by no means the most powerful of the motives that survive the conquest of hunger. Rivalry is a much stronger motive. ...
When the British Government very unwisely allowed the Kaiser to be present at a naval review at Spithead, the thought which arose in his mind was not the one which we had intended. What he thought was: “I must have a Navy as good as Grandmamma's”. And from this thought have sprung all our subsequent troubles. The world would be a happier place than it is if acquisitiveness were always stronger than rivalry. But in fact, a great many men will cheerfully face impoverishment if they can thereby secure complete ruin for their rivals. Hence the present level of taxation.
Source: Human Society in Ethics and Politics, 1954, part II: The Conflict of Passions, chapter 2: Politically important desires, n.4
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<寸言>
他人より(あるいは他国より)少しでも優位に立ちたいという対抗心は多くの災いを招きます。
他人より(他国より)少しでも裕福になりたい、他人より(他国より)少しでも強くありたい、その他、いろいろな面で他者(他国)よりも優位に立ちたいという対抗心(ライバル意識)が存在しており、良いものも多く生み出してきましたが、それに負けず劣らず、多くの悪しきものを生み出してきました。
国家と国家との対抗心においては、最悪のものは「軍備拡張競争」です。「国を守る、国民を守る」といずれの政府も主張し、「防衛」の名のもとに多額の税金が費やされてきました。
国会議員も地方議員も、裏金を蓄財し、旧統一教会から選挙で支援を受けても、「愛国」(国を守る)を主張すれば立派な人物を装うことができました。その典型が安倍派議員(+麻生派)でしたが、派閥を解散しても、この前の自民党の総裁選挙でも力を発揮しました。
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