バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 この徹底的な破壊は, 一部は英国人が行い, 一部はロシア人が行ったものであり, 極悪非道(な行為)だと私には思われた。(ベルリンの破壊よりも)いっそう弁解できない自国民によるドレスデンの説明し難い破壊を思うと, 胸が傷んだ。私は, ドイツ人が明らかに降伏寸前であった時点でそれで十分だ(注:それ以上破壊を行う必要はない)と思うとともに, 135,000人のドイツ人(注:ドレスデン市民)を殺害するだけでなく, 彼等の住居全てと無数の財産を破壊することは野蛮だと感じた。
This complete destruction was due partly to the English and partly to the Russians, and it seemed to me monstrous. Contemplation of the less accountable razing of Dresden by my own countrymen sickened me. I felt that when the Germans were obviously about to surrender that was enough, and that to destroy not only 135,000 Germans but also all their houses and countless treasures was barbarous.
 出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.3 chap. 1: Return to England, 1969
 詳細情報.: https://russell-j.com/beginner/AB31-070.HTM

<寸言>
 戦争がいったん始まれば、丁度よい頃合いで終わることはありません。ほとんど常に、行き過ぎた破壊が行われます。
 戦争が終わると、「この戦争は国民の多くが支持したのだから、一部の指導者をやり玉にあげるのはほどほどにしておこう」ということで、多くの戦争犯罪が見逃されてきました。日本ではA級戦犯だった者が米国政府によって無罪放免になり、政界復帰することもありました。
 ところで、言葉づかいで注意すべきことがあります。たとえば、「国民」と「国家」という言葉の使い分けです。「国民」という言葉を使うべき時に「国家」という言葉を使ったり、「国家」という言葉を使うべき時に「国民」という言葉を使ったりすることがかなりあり、問題の焦点がぼやけてしまうことが多々あります。政治家はそういった誤魔化しをよくします。
 多くの国民が豊かになることと、国家が繁栄することとはイコールではありません。GDPが増えれば国家は豊かになったと言えます。しかし、経済格差や貧富の格差が拡大すれば、国民に分断が起き、国家は繁栄しても、国民は必ずしも豊かになっていないという事態に陥ります。
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