バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 多くの哲学者は、人は常に必ず快楽を求め、一見最も利他的に見える行為でさえもこの目的を持っていると主張してきた。私はこれは誤りだと思う。もちろん、どのような欲求であれ、その目標が達成されれば一定の快楽が得られるのは事実だが、多くの場合、その快楽は、欲求自体によるものであって、期待される快楽への欲求に基づくものではない。これは特に、空腹や渇きといった最も単純な欲求に当てはまる。空腹や喉の渇きを満たすことは快楽である。しかし、食べ物や飲み物に対する欲求は、直接的なものであり、美食家を除けば、それらがもたらす快楽に対する欲求ではない。

Many philosophers have maintained that men always and invariably seek pleasure, and that even the apparently most altruistic acts have this end in view. This, I think, is a mistake. It is true, of course, that, whatever you may desire, you will get a certain pleasure when your object is achieved, but often the pleasure is due to the desire, not the desire to the expected pleasure. This applies especially to the simplest desires, such as hunger and thirst. Satisfying hunger or thirst is a pleasure, but the desire for food or drink is direct, and is not, except in a gourmet, a desire for the pleasure which they afford.
 出典: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, chapter 13: Ethical Sanctions, n.2
 詳細情報.: https://russell-j.com//cool/47T-1302.htm

<寸言>
 一見妥当に見える発言でも、具体的に極端な例を考えると、正しくないことがわかることがけっこうあります。多くの事例を思いつくことができるのも一つの能力です。ラッセルの場合は、哲学や数学や論理学だけでなく、物理学や化学や生理学の事例もいろいろあげることができました。
 上記の「空腹や喉の渇き」の例は常識的な事柄ですが、世間的常識に欠けた哲学者や思想家はそんなありふれた例も気づかなかったりすることがたまにあります。
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