かなり昔、ある愚かな人間 ― 恐らく古代ローマ人― が、「命令の仕方を知るためには(人の上に立つには)まず服従の仕方を学ばなければならない」と言った。(しかし)真理はその逆である。人に服従することを学んだ人間は、自主性を全て失うか、あるいは,権力に対する怒りでいっぱいになりその自主性が破壊的かつ残忍なものになるか、どちらかであろう。
Some fool, long ago - probably a Roman - said that to know how to command, a man must first learn how to obey. This is the opposite of the truth. The man who has learnt to obey will either have lost all personal initiative or will have become so filled with rage against the authorities that his initiative will have become destructive and cruel.
Source: "On being good" in: Mortals and Others; Bertrand Russell's American Essays, 1931-1935, v.1
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<寸言>
権力を持つ人間は必ず権力をふるいたがります。わんぱくな少年の言葉をかりて、ラッセルは次のようなエピソードを紹介しています。
「ある日,学校(注:ラッセルが一時期経営していた Beacon Hill School)で,中くらいの背格好の少年が自分より小柄な少年をいじめているのを見つけた。たしなめたところ彼は次のように答えた。『自分より大きな奴が自分をなぐる,そこで私は自分より小さい奴をなぐる,公平だよ。』(出典: Education and the Social Order, 1932, p.32)
この言葉によって,この少年は,「人類の歴史」を要約してみせた。」
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