しかし, 組織が存在するところではどこでも,勇気が(あること)よりも臆病(であること)の方が有利であることがわかるだろう。企業, 学校, 精神病院等の長になる人の十中八九は, 独自の判断力を持ち率直に自分の考えを言う人間よりも, 従順な胡麻すりを好むだろう。政治においては, 党の綱領を信奉すると公言し, 指導者たちにお世辞を言う必要がある。
But wherever organisation exists cowardice will be found more advantageous than courage. Of the men at the head of businesses, schools, lunatic asylums, and the like, nine out of ten will prefer the supple lickspittle to the outspoken man of independent judgement. In politics it is necessary to profess the party programme and flatter the leaders.
Source: The advantages of cowardice (written in Nov. 2, 1931 and pub. in Mortals and Others, v.1, 1975
More info.: https://russell-j.com/COWARD.HTM
<寸言>
政治は妥協です。しかし、それは自由に議論した後で、指導者(決定権者)の判断に従うということであるべきです。しかし、実際は、指導者に対し「忖度」をし、指導者の意見があたかも自分の意見であるかのように述べて「重用」してもらおうとする日和見政治家がいっぱいいます。これは政治の世界だけでなく、組織のあるところどこにでも見られる現象ですが、多くの人のやる気を阻害してしまいます。
そのような臆病な人たちに向けて、ラッセルは皮肉を込めて次のように「アドバイス」しています。
1) 自分の意見を述べずに上司の意見を述べよ。
2) 自分で良いと思う目標を実現しようとしないで,大金持ちが肩入れした組織が目指す目標の達成に努力せよ。
3) 個人的な交友においては,できれば権力を持った人たちを,もしそれがかなわなければ,将来権力を持つと思われる人たちを,選べ。
もちろん,ラッセルは「このような処世術に従う位なら死んだほうがましだ」とって言っています。
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