バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 けれども、純粋に倫理的な意見の相違(不一致)も存在する。その最重要なものは報復的な(復讐的な)処罰に関するものである。私たちが人を憎み、その人を邪悪だと思うと、その人が苦しむ姿を考えることに喜びを見出す傾向がある。そうして、その苦しみはそれ自体が善いことであると、容易に自分を納得させてしまうかも知れない。これが地獄の存在を信じる根拠となっており、地獄における処罰には改心させる効果はないと考えられている。

There are however some genuine purely ethical disagreements. The most important of these is as to vindictive punishment. When we hate a man and think him wicked, we are liable to find pleasure in the thought of his suffering, and we may easily persuade ourselves that this suffering is a good thing on its own account. This is the basis of the belief in Hell, where punishment is not supposed to have any reforming eflfect.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 10:Is there ethical knowledge ?
More info.: https://russell-j.com/cool/47T-1012.htm

<寸言>
 添付画像にあるように、地獄の存在を信じている人が多い地域や国は、キリスト教やイスラム教や(アフリカなどの)土着信仰の影響が強いところと言えそうです。先進国では地獄を信じる人が少なくなっていますが、60%以上の人が地獄を信じているアメリカは際立っています。科学が発達しているアメリカでも、国民の約半数が聖書に書かれていることをそのまま信じている(らしい)ということで、アメリカは宗教国家だとよく言われています。
 ユダヤ教国家であるイスラエルは、ハマスを殲滅すると繰り返し主張しています。イスラエルは、アメリカから軍事支援を受けている関係から、ガザに潜入しているハマスに対して「精密攻撃」をしている(ただし、ガザ市民の多少の犠牲は仕方がない)と主張しています。しかし、イスラエル軍によって家族が殺害されたガザ市民がその仕返しをしたいがためにハマスに加わっても、ハマスである以上、殲滅対象だとイスラエルは主張するのでしょうか? イスラエルによる報復的処罰には、地獄の思想の影響があったり、人種差別的な思考の影響があったりするように思われますが、どうでしょうか? ガザ市民もイスラエル国民と同等な権利を持った人間だと考えているのなら、数千人のイスラエル国民が虐殺されたからと言って、イスラエルに3万人以上のガザ市民を殺害する権利があるはずはありません。

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