バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 権力者は,常にあらゆる場所で,恐怖心によって抑制されている場合を除けば,権力を持たない人間の善悪(や幸不幸)に無関心です。これは手厳しい(辛辣な)言い方に聞こえるかも知れません。上品な人々は限度を越えて他の人々に苦痛を与えないと言えるかも知れません。こう口で言うことはできるかも知れないですが,実際はそうでないことを歴史は示しています。今問題にしている上品な人々は,自分達が幸福に暮らすためにどのような苦痛を他人に与えているかを知らずに終わってしまったり,あるいは,知らないふりをしたりすることに成功しています。
Holders of power, always and everywhere, are indifferent to the good or evil of those who have no power, except in so far as they are restrained by fear. This may sound too harsh a saying. It may be said that decent people will not inflict torture on others beyond a point. This may be said, but history shows that it is not true. The decent people in question succeed in not knowing, or pretending not to know, what torments are inflicted to make them happy.
Source: Bertrand Russell: What is Democracy? 1953: Evils of Power
More info.: https://russell-j.com/1020_What-is-Democracy.htm

<寸言>
 「indifferent to the good or evil」は「善悪に無関心」と訳すのが普通ですが、「権力者は権力をもたない人間の善悪に無関心」という表現は少しわかりにくく思われます。「good」には「幸福」、「evil」には「災い」という意味もありますので、「幸不幸に無関心」と訳すと「権力者は権力をもたない人間の幸不幸に無関心」とすると納得してしまいます。ということで、「権力を持たない人間の善悪(や幸不幸)に無関心」という訳にしました。
 「善悪に無関心」という訳について、Google gemini と対話してみたところ、次のような反応がありました。

「ラッセルは、権力者が権力を持たない者の「善悪」に無関心であると述べており、単なる「幸不幸」や「幸運や不運」という解釈では、文脈が弱くなります。「善悪」という解釈は、倫理的な側面を含み、ラッセルの権力に対する批判的な視点をより明確に表現できます。権力者は、しばしば権力を持たない者の「善悪」を都合に合わせて判断し、利用しようとする傾向があります。」

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