バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 賢い人間が言ったことを愚かな人間が(第三者に)伝える場合,正確であったためしがない。なぜなら,愚かな人間は,自分が聞いたことを自分が理解できる内容に無意識に翻訳(誤変換)してしまうからである。
A stupid man's report of what a clever man says is never accurate, because he unconsciously translates what he hears into something that he can understand.
Source: Bertrand Russell: A History of Western Philosophy, 1945, chap. 11 (Socrates), p.101
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<寸言>
 それがよくわかるのは偉大な人物の傍に常にいる人(側近)によくある誤解です。一見易しそうに見える言葉(発言)にはいろいろな含意があっても、「あまり利口でない人」は言葉の表面上の意味だけで解釈してしまいます。偉大な人物の側近は偉大な人物の人柄はよく理解できても、思想の理解は困難です。
 なお、上記の引用は、ラッセル『西洋哲学史』に出てくるラッセルの警告(皮肉)です。この引用の前に次の文章があり、趣旨がより理解できると思われます。

「クセノフォン(注:ソクラテスの弟子のひとり)は真実でないことを考えだすほど知恵を持っていないので,クセノフォンが言ったこと(書いたこと)は全て真実に違いないと考える傾向があった。これはまったく説得力のない論拠である。(There has been a tendency to think that everything Xenophon says must be true, because he had not the wits to think of anything untrue.)」

 そうして、上記の引用の直後に次のように書き、読者の理解を確実なものにします。

「私の意見が伝えられる場合には)私は哲学に無知な友人によってではなく,むしろ哲学者の中で私を最も厳しく批判する人によって伝えてもらいたい。( I would rather be reported by my bitterest enemy among philosophers than by a friend innocent of philosophy.)」

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