バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 ついに私は,(在米)英国大使館を納得させる論法を発見した。私は彼らに言った。「この戦争は,ファシズムに対する戦いであることを認めますね」 「はい」と彼らは応えた。 私は続けて言った。「ファシズムの本質は立法府を行政府に従属させることにあるということも認めますね」 彼らは,前よりもややためらい勝ちではあったが,「はい」と応えた。私は続けて言った。「さて,あなたがたは行政府(の人間)であり,私は立法府(の人間)です。もしあなたがたが私の立法機能を必要以上に一日でも長く阻害するようであれば,あなたがたはファシストです!」 一同爆笑のうちに私の渡航許可が即座に認められた。
[I went to Washington to argue that I must be allowed to perform my duties in the House of Lords, and tried to persuade the authorities that my desire to do so was very ardent. ] At last I discovered an argument which convinced the British Embassy. I said to them: 'You will admit this is a war against Fascism. ' 'Yes', they said; 'And', I continued, 'you will admit that the essence of Fascism consists in the subordination of the legislature to the executive'. 'Yes', they said, though with slightly more hesitation. 'Now,' I continued, 'you are the executive and I am the legislature and if you keep me away from my legislative functions one day longer than is necessary, you are Fascists.' Amid general laughter, my sailing permit was granted then and there.
Source: Bertrand Russell: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 6:America, 1968
More info.: https://russell-j.com/beginner/AB26-090.HTM

<寸言>
 日本人にはピンとこないでしょうが、ラッセルは英国の貴族(伯爵)なので自動的に英国の貴族院(上院)の議員になります。それを知らなければ何が面白いか分からないでしょうが、在米英国大使館員は当然知っていました。  安倍総理(当時)が国会で「私は立法府の長ですので・・・」と"失言"したのは、潜在意識が顕在化した結果でしょうか? 当時、行政府(政府)の長であった安倍総理は、圧倒的多数の自民党のもと、自分は立法府である国会を実質的にコントロールできるという思い(全能感)がそう言わせてしまったのでしょうか? それにしても、日本の政治家にはユーモアを言う余裕も教養もないのはなげかわしいばかりです。

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