バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 私は,大人達に,シェリーを偉大な詩人だと考えられないか尋ねた。しかし,彼らはシェリーをよく思っていないことがわかった。けれども,私は,このことで動ぜず、暇な時はいつもシェリーを読んだり,暗記したりして過ごした。私は,自分考えたり感じたことを話すことができる相手は誰もいないことがわかり,シェリーを知っていることは何と素晴らしいことだろうか,また,現在生きている人でこんなに共感できる人と果たしてめぐり逢えるものだろうかと,よく内省した。
I asked the grown-ups whether Shelley was not considered a great poet, but found that they thought ill of him. This, however, did not deter me, and I spent all my spare time reading him, and learning him by heart. Knowing no one to whom I could speak of what I thought or felt, I used to reflect how wonderful it would have been to know Shelley, and to wonder whether I should ever meet any live human being with whom I should feel so much in sympathy.
Source: Bertrand Russell: The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, chap. 2, 1967
More info.:https://russell-j.com/beginner/AB12-050.HTM
<寸言>
 シェリー(1792-1822)もラッセル家の人々と同じ貴族でしたが、無神論者であり、自由恋愛論者でしたので、ラッセルの家族がシェリーに悪感情を持つだろうことは容易に想像できます。
 シェリーは懐疑論者で、反骨精神が旺盛で、無神論者で自由恋愛論者というのですから、ラッセルとの共通点がものすごくあります。青年時代に「現在生きている人でこんなに共感できる人と果たしてめぐり逢えるものだろうか」と疑問に思ったのは自然なことです。
 なお、ラッセルは哲学者かつ数学者なので、哲学や数学関係の本を一番たくさん読んだだろうと思うかも知れませんが、自伝などで述べているように、ラッセルが生涯を通じて最も読んだのは、歴史及び文学関係の本です。そうであるからこそ、ラッセルは自分の著作のなかに多数の興味深い引用をすることができました。
 ところで、バイロンが登場する、与謝野鉄幹の「人を恋ふるうた」の4番の最後の歌詞『芭蕉のさびをよろこばず』ですが、「よろこばず」は誤記かと思いましたが、「よろこばず」でよいようです。Yahoo 知恵袋の回答には次のように書かれています。

【「よろこばず」で問題ありません。なお、「ず」が打ち消しでないという説は間違いです。「芭蕉のさびには共感しない」と言っているのです。
 意訳すれば、
バイロンやハイネほどの情熱があると言うつもりはないが、
 芭蕉のさびみたいなものは自分の性に合わない。」 ということです。
 前半は一応謙遜したのであって、本当は情熱をもっているのです。】

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