バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 今や、倫理学における一連の基本的な命題と定義を立てることが可能である。
(l) 承認あるいは不承認(賛否)の感情を引き起こす行為を調べると、一般的な規則として、承認される行為はある種の効果(結果)をもたらす可能性が高く、一方、承認されない行為からは逆の効果(結果)が予想(期待)される。
(2) 承認に導く効果は「良い」と、不承認に導く効果は「悪い」と定義される。
(3) 入手可能な証拠に基づいて、その状況で可能な他の行為よりも良い効果が得られる可能性が高い行為は「正しい」と定義される。それ以外の行為は「間違っている」と定義される。 私達が「なすべき」ことは、定義上、正しい行為である。
(4) 正しい行為を承認し、間違った行為に不承認を感じるのは正しい。


We can now set up a series of fundamental propositions and definitions in Ethics.
(l) Surveying the acts which arouse emotions of approval or disapproval, we find that, as a general rule, the acts which are approved of are those believed likely to have, on the balance, effects of certain kinds, while opposite effects are expected from acts that are disapproved of.
(2) Effects that lead to approval are defined as “good”, and those leading to disapproval as “bad”.
(3) An act of which, on the available evidence, the effects are likely to be better than those of any other act that is possible in the circumstances, is defined as “right”; any other act is “wrong”. What we “ought” to do is, by definition, the act which is right.
(4) It is right to feel approval of a right act and disapproval of a wrong act.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 1954, chapter 9:Is there Ethical knowledge, n.11
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0911.htm

<寸言>
 感情にかられて「正しい」とか「間違っている」と主張することと、「正しい」や「間違っている」の定義をしてから、そう主張することとではかなり違います。もちろん、その定義がよくないのであれば、再考する必要があります。
 承認あるいは不承認(賛成あるいは反対)の感情から結果を考えずに行動するよりも、結果(効果)を予想して行動したほうがよい場合がほとんどです。もちろん最初から結果はわからないので予想するしかないですが、予想が間違えれば反省し、次からはもっと慎重に予想し、しだいに予想があたることが多くなるはずです。
 ある行為がどのような効果(結果)をもたらすか、多くの予想ができる人は賢いと言えます。しかし、多くの人は考えることをめんどくさがり、悪い効果(結果)が生じると、「想定外」だと言って驚きます。「想定」したくない、あるいは「想定」するのがめんどくさいので「想定」しないことが多く、「想定外」なら罪一等が許されると思っているようです。

#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell