バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 私は,批評家(書評者等)から, 真実の歴史を書かず, 書こうと恣意的に選んだ出来事に偏った説明を加えているといって, 時々非難された。しかし, 私の考えでは,(全く)先入観をもっていない人間は - もし仮に、実際にそのような人間が存在するとして - 興味深い歴史など書くことができない。私は, 先入観がないふりをすることは, 単なる誤魔化しにすぎないと考える。さらにいえば, 本というものは, 他のいかなる著作同様, そのよって立つ観点とともに考えられるべきものである。

I was sometimes accused by reviewers of writing not a true history but a biased account of the events that I arbitrarily chose to write of. But to my mind, a man without a bias cannot write interesting history if, indeed, such a man exists. I regard it as mere humbug to pretend to lack of bias. Moreover, a book, like any other work, should be held together by its point of view.
Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 6: America, 1968.
More info.:https://russell-j.com/beginner/AB26-080.HTM

<寸言>
 ラッセルの著作は客観的な書き方をしていないと批判めいたことを言う人が時々いますが、大部分的外れな指摘となっています。理論哲学においては、読む人がいやになるほど(めんどくさくなるほど)客観的かつ論理的な書き方をします。しかし、歴史や社会科学においては、先入見や先入観をもたずに説得力のある理論を述べることができる人などいません。必ず、正しそうだと信じている観点や基本的な考えがあり、その上にたって論じているはずです。まったく、先入見や先入観なく客観性を装う著者は信頼できません。

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