
自制の効用は,列車のブレーキの効用に似ている。誤った方向に進んでいることに気づいたときには役に立つが,方向が正しいときには害になるばかりである。列車はつねにブレーキをかけたまま走るべきだ,とはだれも主張しないだろうが,それでも,困難な自制をする習慣は,有用な活動にあてるべきエネルギーに対して,きわめてよく似た有害な影響を及ぼす。
The use of self-control is like the use of brakes on a train. It is useful when you find yourself going in 'the wrong direction, but merely harmful when the direction is right. No one would maintain that a train ought always to be run with the brakes on, yet the habit of difficult self-control has a very similar injurious effect upon the energies available for useful activity.
Source: Bertrand Russell: Marriage and Morals, 1929, chap. 21: Conclusion.
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<寸言>
これは、ラッセルの『結婚と性道徳』の最終章(結論)に出てくる有名な一節です。特に、愛情や恋愛においては、感情を「自制」するよりも「開放」したほうがよいという趣旨です。
ただし、ラッセルのこの言葉もそうですが、著名人の言葉を、自分の都合のよいように解釈、あるいは、あまり適切でない場面で使用し、自分の言動に箔付けしたり、カモフラージュしたりする人がけっこういます。アクセルもブレーキも適切に使う必要があります。しかし、ブレーキとアクセルを踏み間違えるドライバー同様、大きな問題(政治的”事故") を起こしても、詭弁を使い、自分の非を認めようとしない政治家が多数います。「政治家は嘘つきの始まり」は定説になってしまっています。
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