バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


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 奴隷制度が論争の的だった時代、反対派は奴隷制度が無駄の多い生産方法であると主張し、擁護派はそれを否定した。実際、心からの反対派は、奴隷制に無駄は多くないと証明されたとしても、奴隷制に好意的になることはなかっただろうし、心からの擁護派は、無駄が多い方式だと証明されたとしても、奴隷制に反対することはなかっただろう。双方の主張は、態度を決めていない一般大衆に向けられたものだったのであり、綿製品が安いことを望むが、南部の農園での奴隷労働やランカシャーの工場での児童労働にはほとんど関心がなかったのである。

In the days when slavery was a controversial issue, its opponents argued that it was a wasteful method of production, while its advocates denied this. In fact its wholehearted opponents would not have become favourable to it if it had been shown to be not wasteful, and its whole-hearted advocates would not have turned against it if it had been shown to be wasteful. The argument on each side was addressed to the undecided general public, which wanted cotton goods to be cheap, but cared little about slave labour on Southern plantations or child labour in Lancashire factories.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 8:Ethical Controversy
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0803.htm

<寸言>
 ユニクロが販売している衣類は、中国のウィグル民族の強制労働によるものだとの批判を受けて、ユニクロほか日本の企業も、価格だけでなく、生産方式にも注意を払うようになりました。いや、企業の責任だけでなく、消費者の多くは「製品価格が安いことを望むが、生産方式にはほとんど関心がない」というのが実情であり、消費者にも一端の責任があるというしだいです。

 また、多くの論争における議論(発言)は、論争相手にあわせたものというよりも、「態度を決めていない一般大衆に向けられたもの」だという指摘は、含蓄があります。

#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell