バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )


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 自由意志はいかなる合理的な(理性的な)倫理にとっても不可欠なものではなく、地獄を正当化し、処罰がもたらす善とは関係なく「罪」は処罰させられるべきだとする懲罰的な倫理にのみ不可欠なものである、と私は結論づける。また、「罪」というのは、本人(当該関係者)や共同体が不承認の感情を抱く行為という意味以外では、誤った概念であり、罪を犯すのが他者である場合には不必要な残酷さや執念深さを助長し、非難するのが自分自身である場合には病的な自己卑下を助長するものであると結論づける。

I conclude that free will is not essential to any rational ethic, but only to the vindictive ethic that justifies hell and holds that “sin” should be punished regardless of any good that punishment may do. I conclude also that “sin”, except in the sense of conduct towards which the agent, or the community, feels an emotion of disapproval, is a mistaken concept, calculated to promote needless cruelty and vindictiveness when it is others that are thought to sin, and a morbid self-abasement when it is ourselves whom we condemn.
Source: Bertrand Russell: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 7:sin
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0713.htm

<寸言>
 心神喪失の状態にある者以外は「自由意志」があるのだから罪を犯した者には「報復的な」罰を与えるのがよいという考え方は間違っているということ。すなわち、この引用文の直前に、ラッセルは次のように主張しています。

「殺人狂の精神異常者は、たとえその罪で絞首刑になることが確実であったとしても、殺人を思いとどまることはないだろうから、絞首刑にするのは無駄である。しかし、正気の人間は、殺人を犯すとき、通常、発見されずにすむことを期待して犯すものであり、発見されたときに罰する価値があるのは、この事実のためである。殺人が罰せられるのは、それが罪であり、罪人が苦しむのがよいからではなく、社会(共同体)がそれを防ぎたいと願うからであり、罰を恐れることによって、ほとんどの人が殺人を控えるようになるからである。これは決定論的仮説と完全に合致し、自由意志の仮説とは完全に相容れない。」

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