バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 戦争においては、敵側の勇敢さを賞賛する者もいれば、そうでない者もいる。賞賛には、自分の利益(あるいはそのように見えるもの)を犠牲にして他人の利益に貢献した者に与えられるという大まかなルールがある。賞賛を求める気持ちと非難を恐れる気持ちが非常に大きく、他の全ての考慮事項に勝るほど大きいかもしれない。「不名誉(名誉を傷つけられる)よりは死を選ぶ」というのは、望ましい感情ではあるが、厳密に言えば、無私の(利他的な)ものではない。

In war, some men admire bravery on the part of the enemy, others do not. There is a broad rule about praise, that it is bestowed upon those who have sacrificed their own interests (or what seemed such) to the interests of others. The desire for praise and the fear of blame may be so great that they outweigh all other considerations: "death rather than dishonour” is considered a desirable sentiment, but is not, strictly speaking, an unselfish one.
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 5
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0613.htm

<寸言>
 このような感情がでてくるのは戦争が始まって間もない頃や、戦争が短期間かつそれほど大きな犠牲が出なかった場合です。長期間の戦争で多数の犠牲者が出て、血で血を洗う状態になればそのような余裕はなくなってきます。自国が空爆にあったことがない国(アメリカなど)は、空爆による敵国民間人の殺害はやむを得ないことだと思う人が多くても、自国がいったんそのような状態になれば「発狂状態」になります。
 9.11の米国同時多発テロで約3000人の米国人が犠牲になりましたが、その報復として米国が行ったテロ戦争で、アフガニスタン、パキスタン、イラク、シリア、イエメンでの死者は400万人以上にのぼるそうです。しかし、そのことはあまり知られていない(報道されていない)のか、米国人には罪の意識はあまりわいてこないようです。ただし、アフガン帰還兵で精神障害に陥った人がかなりいるとの報道は時々なされています。
 バイデン大統領はイスラエル支持によって世界の評判がどんどん悪くなっていることを受けて、最近はイスラエルによる空爆を「適切に?」するように求めていますが、自国の過剰な反応(過去の大規模な空爆による民間人の犠牲)については気にならないようです。

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