バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 私はこっそり12個(枚)のチョコレートをもらった少年であり、何ももらっていない11人の仲間がいる、としてみよう。私はこっそり12個全てを自分で食べてしまうような限定的な(狭い)欲望を持っているかもしれない。その場合には、(12個のなかの)1各1個は(前の)1個が与えるほどの満足を与えず、最後の1個は恐らくほとんど満足を与えないであろう。あるいは、私は博愛に満ちていて、仲間に1個ずつ与え、自分は1個しか食べないかもしれない。その場合、各チョコレートは、最初のチョコレートが他のケースで与えたのと同じだけの満足を与え、満足の合計は他のケースよりも大きくなる。従って、慈悲深い少年は、利己的な少年によってもたらされるよりも多くの善を存在させる。

Suppose I am a small boy who has been secretly given twelve chocolates, and I have eleven companions who have been given none. I may have such limited desires that I surreptitiously eat all the twelve myself, in which case each gives me less satisfaction than the one before, and the last perhaps hardly any. Or I may be so filled with benevolence that I give one to each of my companions, and eat only one myself. In that case, each chocolate gives as much satisfaction as the first one gave in the other case, and the total of satisfaction is greater than in the other case. Therefore the benevolent boy causes more of the good to exist than is caused by the selfish boy. This illustrates how some desires minister more to the general good than other desires do.
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0411.htm

<寸言>
 ラッセルはここで、功利主義の倫理観(最大多数の最大幸福を実現することで最大の善を実現できるという考え方)を吟味しています。最初の(1杯目の)ビールは美味しいが、飲み続けていくうちに、喜び・快感が減少し、惰性で飲み続けるひとがけっこういます。そうして、翌日、二日酔いという痛いしっぺ返しを受けます。こんなことなら、自分だけ飲まずに、多くの人にふるまったほうがよかったと思っても、体調が回復すると、やがてまた同じ愚行を繰り返し、ついにはアル中になり、お酒がなくては禁断症状がでてくるようになってしまう人も出てきます。そうして、幸福の総量を自ら減らしているというわけです。

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