ラッセル英単語・熟語1500 |
この目的と手段の問題は、倫理的に非常に重要である。文明人と野蛮人、大人と子供、人間と動物の違いは、その大部分が、行動における目的と手段の重みの違いにある。・・・。
将来の楽しいことのために今不快なことをする先見性は、精神発達の最も重要な証のひとつである。先見性は難しく、衝動を制御する必要があるため、道徳家はその必要性を強調し、後の報酬の快楽よりも現在の犠牲の美徳に重きを置く。(彼らは言う。)正しいことをしなければならないのは、それが正しいからであって、天国に行く方法だからではない。貯蓄をしなければならないのは、良識ある人々が皆そうするからであって、最終的に人生を楽しむための収入を確保できるからではない、等々。
This question of ends and means is of great ethical importance. The difference between a civilized man and a savage, between an adult and a child, between a man and an animal, consists largely in a difference as to the weight attached to ends and means in conduct. ... Forethought, which involves doing unpleasant things now for the sake of pleasant things in the future, is one of the most essential marks of mental development. Since forethought is difficult and requires control of impulse, moralists stress its necessity, and lay more emphasis on the virtue of present sacrifice than on the pleasantness of the subsequent reward. You must do right because it is right, and not because it is the way to get to heaven. You must save because all sensible people do, and not because you will ultimately secure an income that will enable you to enjoy life. And so on.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 3
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0403.htm
<寸言>
手段と目的の取り違えは日常茶飯事です。目的のための手段だと思っていたものがいつの間にか目的であるかのようにその手段にこだわることはよくあることです。
平和を維持するためには防衛力を強化することが重要だということで、防衛産業を育てることが必要だということになります。防衛力の整備は国益のために必要であり、単なる外見的なものだけでなく、愛国心を育てることも必要だということになります。防衛力の整備に反対することは愛国心に欠ける(非国民)だということにもなります。・・・。
ということで、いつの間にか手段と目的の関係が曖昧になり、手段を目的化する人が多く現れてきます。
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