ラッセル英単語・熟語1500 |
戦争が社会的結束(結合)を高める傾向がある原動力(motive force 推進力)であった限り、道徳は、二つの非常に異なる部分 - 一つは自分自身の集団の成員に対する義務、もう一つは当該集団以外の個人ないし集団にかかわる義務- から成り立たっていなければならなかった。仏教やキリスト教のような普遍性を目指す宗教は、この区別を消し去り、全人類をただ一 つの集団として扱おうとしてきた。・・・。
しかし、宗教ができることを全てやったにもかかわらず、今日に至るまで、この視点(人類は一つの集団)は、依然として、少数の哲学者や聖人の抱負にとどまっている。
In so far as war has been the motive force tending to increase social cohesion, morality has had to consist of two very different parts, duties towards members of one's own herd, and duties having reference to individuals or groups outside the herd. Religions aiming at universality, such as Buddhism and Christianity, have sought to obliterate this distinction, and to treat all mankind as one single herd.... But hitherto, in spite of all that religion could do, it has remained an aspiration of a few philosophers and saints.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 1
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0120.htm
<寸言>
キリスト教であれ、仏教であれ、どの国や地域で広まるかによって、その国の国民性や民族性によって変容する部分がけっこうあります。
特に戦時下にある場合は、宗教は、普遍性を求めているにもかかわらず、おかしな方向に向かうことがあり、国策に従って戦争に協力することさえあります。韓国生まれの旧統一教会は、冷戦を背景にして、岸信介(故人)と蜜月関係を結び、反共によって力を得ましたが、冷戦時代が終わると、霊感商法などで別に収入源を求めるとともに、日本の守旧派の古い道徳観に媚を売って、自民党(特に安倍派)と長い間、深い関係を築いてきました。
旧統一教会に解散命令がでれば、力を急速に失っていくと思われますが、旧統一教会とともに悪いことをしてきた日本の政治家達は生き延び、また別の金づるを探すことになりそうです。
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