ラッセル英単語・熟語1500 |
科学のデータは、個人の知覚から得られたものであり、常識で考えられているよりもはるかに主観的なものである。にもかかわらず、その基礎の上に、非個人的な科学の堂々たる大建造物が建てられている。これは、大多数の人々の知覚が一致する特定の点があるという事実、また、色覚異常者や幻覚の犠牲者の知覚は無視することが可能だという事実に依存している。倫理学においても客観性に到達する同様な方法があるかも知れない。もしそうなら、それは多数の人々に訴えるかけるものでないといけないので、個人倫理から政治の領域へと我々を連れていくであろう。
The data of science are individual percepts, and these are far more subjective than common sense supposes ; nevertheless, upon this basis the imposing edifice of impersonal science has been built up. This depends upon the fact that there are certain respects in which the percepts of the majority agree, and that the divergent percepts of the colour-blind and the victims of hallucinations can be ignored. It may be that there is some similar way of arriving at objectivity in ethics; if so, since it must involve appeal to the majority, it will take us from personal ethics into the sphere of politics, ...
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 1
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-0104.htm
<寸言>
人間の主観が入り込まないと思われている科学でさえ、全員一致することがない個人個人の知覚から得られたデータの上に築かれているという事実を指摘・強調するラッセル。科学でさえそうであるならば、同様の手法によって、倫理学探求の手がかりも得られるのではないかと希望を抱くラッセル。
科学だけでなく、倫理学も多くの人が納得するものでなければならず、多くの人に訴えかけるものでなければならない。そのことから、倫理学は政治学との関係がどうしてもでてくるはずだ、と主張するラッセル。
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