バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 倫理学は、その基本的データが感情(feelings)や情緒(emotions)であって、知覚されるもの(percepts 知覚対象)ではないという事実において、科学とは異なる。そのことは厳密に理解されなくてはならない(理解すべきである)。即ち、それらのデータは、感情そのものや情緒そのものであって、私達(人間)が感情や情緒を持つという事実ではない。私達(人間)がそういう感情や情緒を持つという事実は一つの科学的事実であることは、他の事実と同様、私達は、普通の科学的方法で、知覚によって気づくようになる。しかし、倫理的判断(注:善い・悪いの判断)は一つの事実を述べるのではない。。

Ethics differs from science in the fact that its fundamental data are feelings and emotions, not percepts. This is to be understood strictly; that is to say, the data are the feelings and emotions themselves, not the fact that we have them. The fact that we have them is a scientific fact like another, and we become aware of it by perception, in the usual scientific way. But an ethical judgment does not state a fact;
 Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, (1954), chapter 1
More info.:https://russell-j.com/cool/47T-introduction-08.htm

<寸言>
 倫理学を取り扱う際には、まず倫理学は単なる事実判断を取り扱うのではなく、人間の感情や情緒そのものを取り扱うのだということ、つまり、事実判断ではなく、価値判断を問題にすることを理解しておく必要があります。どんなに多くの事実を積み上げてもそれらから、純粋に科学的・論理的な方法によって価値判断を導くことはできません。価値判断を導く場合には、事実からの「飛躍」が必要となります。
 多くの人間が、食料として多くの動物を屠殺することをなんとも思わなかったり、思っても(生きていくためには)仕方がないことだと考えます。しかし、もし、宇宙に地球人よりも格段に優れた生命体があったとしたら、それらの高等生命から見たら、地球人は牛やブタのようものに見えるかも知れません。(いろんな宗教が人間を特別視することは、人間にとって心地よいことです。)
 人間を特別視することによって、初めて、人間にとっての倫理学が生まれてきます。
 ヒトラーにはヒトラーの倫理観があり、トランプにはトランプの倫理観があるというしだいです。類人猿には類人猿の掟があります。

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