バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 知恵とは、人生の目的についての正しい概念のことである。知恵は、科学自体が与えないものである。従って、科学(的知識)の増大( Increase of science)は、進歩に必要な要素の一つを提供するけれども、それ自体では真の進歩を保証するのに十分ではない。

I mean by wisdom a right conception of the ends of life. This is something which science in itself does not provide. Increase of science by itself, therefore, is not enough to guarantee any genuine progress, though it provides one of the ingredients which progress requires.
Source: The Scientific Outlook, 1931, introduction.
More info.: https://russell-j.com/cool/SO_1931.pdf
      
<寸言>
 当たり前のことを言っているにすぎないですが、「人生の目的についての正しい概念」とは何か、また、「知恵がある」というのは「人生の目的について正しい概念を持っていること」と同じということであるなら、「知恵」や「人生の目的について正しい概念」はどうやって得ることができるのでしょうか?
(アインシュタインは、知恵は学校教育によって生み出されるものではなく、生涯それを得ようと努力することによって得られるものだと言っています。)

 「科学的知識をいっぱい持っている」が「科学的精神を持っていない」人は少なくありません。しかし、「科学的精神を持っている」人は「知恵を持っている」場合が多いような気がします。たとえば、アインシュタインは科学的能力だけでなく、知恵「も」いっぱい持っていました。  一方、地上最強で最凶の頭脳を持っていたと言われているフォン・ノイマンはあまり人間的とは言えず、「人生の目的についての正しい概念」や(ラッセルが言う意味での)「知恵」を持っていたようには思えません。アメリカが日本のどの都市に原爆を落とすか検討していた時、政府に発言力を持っていたフォン・ノイマンは、日本人が一番衝撃を受けるだろう京都にまず落とすべきだと主張したそうです。(京都に強い愛着を持っていた陸軍長官スティムソンの強い反対のため直前になって京都への投下は中止になったとのことで、)京都市民には「幸いなことに」、また、広島市民には「不幸なことに」、最初に広島に投下することが決定されました。

 日本の政治家の多くは「知恵」を持っているように見えないのが残念で不幸なことです。

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