バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 教師(teachers)は生徒の側の知的な意見の相違を奨励すべきであり、教える者(instructor)の意見と反対の意見を持つ書物を読むように促すことさえすべきである。しかし、このようなことはめったに行われることはなく、その結果、多くの教育が、探究心の代わりに根拠のないドグマを植え付けることになる。このような事態は、必ずしも教師における過失から生じるのではなく、カリキュラムがあまりにも多くの(一見して)明白な知識を要求し、その結果として、性急で過度の明確さを必要とすることから生ずる(のである)。

Teachers ought to encourage intelligent disagreement on the part of their pupils, even urging them to read books having opinions opposed to those of the instructor. But this is seldom done, with the result that much education consists in the instilling of unfounded dogma in place of a spirit of inquiry. This results, not necessarily from any fault in the teacher, but from a curriculum which demands too much apparent knowledge, with a consequent need of haste and undue definiteness.
Source: Education and the Social Order, 1932.
More info.: https://russell-j.com/cool/ESO_1932.pdf

<寸言>
 国は義務教育において、できるだけ「効率的に」「多くの知識」を生徒(若い国民)に教え込もうとします。それだけでなく、大学受験(選抜試験)というものがあり、(大学全入時代になったと言っても)できるだけ世間的に評価の高い大学に入って、卒業したらできるだけ世間的に評価の高い就職先に就くことをめざしますので、「詰め込み教育」の要素はなかなかなくなりません。
 そういうことですから、(文科省が「思考力を高める教育」をかかげても)自分の頭で考える賢い(論理的思考能力のある)国民が多く生まれるようなことは期待できません。すぐに役に立つ知識をいっぱい持つとともに論理的思考能力も併せ持ってもらいたいが、政府に批判的な人間にはなってもらいたくないという「虫のいい話」などありません。
【ちなみに、「虫のいい話」の「虫」はリアルな虫ではなく、「庚申信仰では、人の体内には三尸(さんし)」という3匹の虫が潜んでいると考えられており、「上尸」(頭の中に潜み、首から上の病気を引き起こす虫)、「中尸」(腹の中に潜み、臓器の病気を引き起こす虫)、「下尸」(脚の中に潜み、腰から上の病気を引き起こす虫)とされていた。」とのことです。】

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