ラッセル英単語・熟語1500 |
相容れない狂信(反対意見への極端な不寛容)が渦巻く中、数少ない統一力のひとつが科学的真実性であり、その意味するところは、我々の信念を、人間にとって可能な限り客観的(非個人的)かつ局所的・気質的な偏りを排除した観察と推論に基づかせる習慣のことである。この美徳を哲学に導入することを主張し、それを実りあるものにするための強力な方法を発明したことが、私が属する哲学学派(注:分析哲学)の最大の長所である。
In the welter of conflicting fanaticisms, one of the few unifying forces is scientific truthfulness, by which I mean the habit of basing our beliefs upon observations and inferences as impersonal, and as much divested of local and temperamental bias, as is possible for human beings. To have insisted upon the introduction of this virtue into philosophy, and to have invented a powerful method by which it can be rendered fruitful, are the chief merits of the philosophical school of which I am a member.
Source: A History of Western Philosophy, 1945, chapter XXXI, p.789(最後のページの最後の段落!)
More info.: https://russell-j.com/cool/HWP_1945.pdf
<寸言>
ラッセル『西洋哲学史』の最後のページの最後の段落の一節です。
英米では哲学と言えば分析哲学のことを指すといってよいだろうと思われますが、それ以外(ヨーロッパ大陸やアジアなど)ではそうなっていません。茶道の家元の流派のように、様々な哲学流派があり、それぞれが一国一城の主として、内政不干渉を原則としているかのようです。
フレーゲとラッセル(とムーア)は分析哲学の祖とされており、その後大きく発展した分析哲学は、考え方の違いによりいくつかのグループに分かれるにしても、論理分析の方法を採用する点では、一致しています。
ラッセルは、1914年出版の『外界の知識』において、新しい哲学(分析哲学)の役割について次のように述べています。
「そうして、哲学が、近い将来において哲学者がいままでになしとげてきたすべてのことを凌駕するような業績を出すのに必要なただ一つの条件は、 科学の訓練を身につけながら、過去の伝統にとらわれず、 また古代人の書き残したものを、その業績(merits)を除いてはことごとく書き写すような人達の文学的方法によって毒されていない、哲学的関心をもった人達の学派を創設することにある、というのが私の信念である。」
(The one and only condition, I believe, which is necessary in order to secure for philosophy in the near future an achievement surpassing all that has hitherto been accomplished by philosophers, is the creation of a school of men with scientific training and philosophical interests, unhampered by the traditions of the past, and not misled by the literary methods of those who copy the ancients in all except their merits.)
Source: A History of Western Philosophy, 1945
More info.: https://russell-j.com/cool/OKEW_1914.pdf
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