バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 従って、ロシアと西側(諸国)との対立は、基本的には経済的なものであるが、信念の全領域に及ぶと予想されるであろう。私が言う信念とは、真実がわからない事柄についての独断的な意見を意味している。もちろん、科学的精神の普及、つまり、先入観(偏見)ではなく証拠に基づいて意見を形成する習慣があれば、このような弊害は避けられるだろう。しかし、産業主義には科学技術が必要であるが、科学的精神は(科学技術によりも)むしろ商業(商取引)に属するものである。というのは、科学的精神は必然的に個人主義的なものであり、権威に影響されないからである。

The opposition between Russia and the West, therefore, though fundamentally economic, may be expected to extend over the whole sphere of belief. When I speak of belief I mean dogmatic opinions on matters as to which the truth is not known. The whole evil could, of course, be avoided by the spread of the scientific spirit, that is to say, by the habit of forming opinions on evidence rather than on prejudice; but although scientific technique is necessary to industrialism, the scientific spirit belongs rather to commerce, since it is necessarily individualistic and uninfluenced by authority..
Source: Source: Sceptical Essays, 1928
More info.: https://russell-j.com/cool/SE_1928.pdf

<寸言>
 科学的知識をいっぱいもっていても、科学的精神を持っているとは限りません。科学は真理の探究が命ですが、科学技術は科学の成果を人間社会に活かすことに価値があり、科学的精神をあまり持っていない科学技術者はけっこういます。
 権力政治家は、科学よりも科学技術に注目し、科学的精神をほとんど身につけていない者が多く、科学を悪用、あるいは下手に使うことによって、人間社会に不幸さえもたらすことがあります。
 多くの国々が「国民の命を守る」という名目で「仮想敵国」と対峙し、衝突し、相手の侵略的行為に対抗するために、「防衛のため」「反撃」をせざるを得なくなったという言い訳のもと、戦争状態に入っていきます。そうして、国内において殺人をおかせば罪を問われますが、敵国の人間を多数殺害すればするほど勲章の数が増えていき、運悪く戦死した場合には、[英霊」として讃えられます。 

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