バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 フロイト主義者達は、「合理化」- 即ち、実際には極めて不合理な(irrationali 道理や理屈に合っていない)決定(判断)や意見に対して、自分では合理的と思える根拠を作り出すプロセス- に我々を慣れ親しませてきた。しかし、特に英語圏では、その逆の「非合理化(irrationalising)」と呼ばれるプロセスがある。抜け目のない人は、多少とも無意識のうちに、ある問題の長所と短所を利己的な観点から要約する。(自分の子供に関する場合を除いて、利他的な(利己的でない)考慮が、意識下で重視されることはほとんどない。)無意識の助けによって健全な利己主義的な決定(注:a sound egoistic decision  利己主義的ではあるが健全な判断or健全ではあるが利己主義的な判断?)をした人は、自分がいかに大きな個人的犠牲を払って公共の利益を追求しているかを示す高尚なフレーズの数々を、発明したり他者から採用したりする。

Freudians have accustomed us to "rationalising", i.e., the process of inventing what seem to ourselves rational grounds for a decision or opinion that is in fact quite irrational. But there is, especially in English-speaking countries, a converse process which may be called "irrationalising." A shrewd man will sum up, more or less subconsciously, the pros and cons of a question from a selfish point of view. (Unselfish considerations seldom weigh subconsciously except where one's children are concerned.) Having come to a sound egoistic decision by the help of the unconscious, a man proceeds to invent, or adopt from others, a set of high-sounding phrases showing how he is pursuing the public good at immense personal sacrifice.
Source: Sceptical Essays, 1928, chapter 1:
More info.: https://russell-j.com/cool/SE_1928.pdf

<寸言>
 最後の一文のなかの「 a sound egoistic decision」の訳し方に自信が持てません。一応、「健全な利己主義的な決定(注:a sound egoistic decision :利己主義的ではあるが健全な判断or健全ではあるが利己主義的な判断?)」としておきました。
 DeepL翻訳も、Google翻訳も、みんなの自動翻訳(国立研究開発法人情報通信研究機構)も「健全な利己主義的決定」と、字句通りの訳し方をしているだけです。「健全な(で)」「利己主義的」な決定という言い方は変な言い方なので少なくとも注や補足説明を追加すべきですが、いずれの翻訳ツールもそのような親切心は持っていないようです。
 そこで、自分の訳よりもよい訳をしてくれと ChatGPT にお願いしてみました。しかし、やはり「健全な利己主義的な決定」という訳が返ってきました。そこで、ChatGPT に「健全な(で)」「利己主義的な」決定というのは日本語としておかしいのではないか、「sound」には「健全な]以外にも「十分な」という意味もあるので、もしかすると「かなり利己主義的な決定」という意味ではないかと追加質問したところ、「申し訳ありませんでした。・・・」とこちらの疑問に沿った返事を返してきました。
 しかし、どうも納得がいきません。ChatGPTの最新版が利用できるようになればもっと適切な答えをもらえるかも」知れないですが・・・。

 ラッセルの言おうとしているのは、たとえば、某政治家が利己主義的な気持ちから決定・判断したことが「たまたま」「健全な]判断と一致したということではないでしょうか? そういうことであれば、平凡な判断とも言えるので、もったいつけるために、「無意識の助けによって健全な利己主義的決定に達した人は、自分がいかに莫大な個人的犠牲を払って公共の利益を追求しているかを示す一連の高慢なフレーズを発明したり、他人から採用したりする」といったニュアンスではないでしょうか? とりあえずそのように解釈しておきます。

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