バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 精神分析は、誰もが知っているように、主にヒステリーやある種の精神障害(精神異常)を理解するための方法である。しかし、普通の男女の生活の中には(にも)、精神障害者の妄想と屈辱的なまで似ているものが多くあることが発見されている。夢、不合理な信念、愚かな行動と無意識の願望との関連は、フロイトやユングとその支持者達によって、多少誇張されてはいるものの、明らかにされてきた。このような無意識の願望の性質について、素人の私としては遠慮がちに言うが、多くの精神分析家は過度に狭量であるように思える。確かに彼らが強調する願望は存在するが、他の願望、例えば、名誉欲や権力欲も同様に作用し、同様に隠蔽されやすい。

Psycho-analysis, as every one knows, is primarily a method of understanding hysteria and certain forms of insanity; but it has been found that there is much in the lives of ordinary men and women which bears a humiliating resemblance to the delusions of the insane. The connection of dreams, irrational beliefs and foolish actions with unconscious wishes has been brought to light, though with some exaggeration, by Freud and Jung and their followers. As regards the nature of these unconscious wishes it seems to me though as a layman I speak with diffidence that many psycho-analysts are unduly narrow; no doubt the wishes they emphasize exist, but others, eg, for honour and power, are equally operative and equally liable to concealment.
Source: The Analysis of Mind, 1921.
More info.: https://www.gutenberg.org/files/2529/2529-h/2529-h.htm

<寸言>
 ラッセルは、引用文の前半で精神分析を評価し、後半で批判しています。
 第一次世界大戦時、英国の参戦が決まったときの英国民が狂喜する姿を見て、ラッセルはショックを受けます。
 その当時の気持ちを『ラッセル自伝』の中で次のように書いています。
 https://russell-j.com/beginner/AB21-040.HTM

「私は,人間性についての見方を修正しなければならなかった。当時,私は,精神分析については全く無知であったが,,人間の情念(様々な感情)について,精神分析家の考えに似通った見方に,独力で到達した。私は,第一次大戦に対する大衆の感情を理解しようと努力しているうちに,このような見解に到達したのである。それまで私は,親が自分の子供を愛するのは,まったくありふれたことであると思っていたが,第一次大戦により,これはごくまれな例外であると思うようになった(←そう思うよう説得された)。大部分の人は,他の何よりもお金を好むと思っていたが,お金よりも破壊の方をより好むということがわかった。知識人というものはしばしば真理を愛するものと想像していたが,人気よりも真理の方を選ぶものはその一割にも満たないことがわかった。」

 ラッセルは、精神分析に対する批判もいろいろな著作で行っています。ラッセルが指摘するフロイトの精神分析の誤謬の一つは、リビドー(libido 性的欲望/衝動)が影響を及ぼす範囲の拡大解釈(例:エディプス・コンプレックス)です。たとえば、ラッセルは『教育論』の中で次のように言っています。
https://russell-j.com/beginner/OE05-020.HTM

「精神分析学者(精神分析医)の中には,子供の遊びの中に性的象徴を見ようとしたものがいる(注:フロイトなど)。 これは馬鹿らしい考え(たわごと)である,と私は確信している。幼年期の主な本能的な衝動は,性ではなくて,おとな(一人前)になりたいという欲望である。もっと正確に言うなら,力(権力)ヘの意志である。[H・C・キャメロン博士『神経質な子供』 (1924年),p.32以下参照] 子供は,年長者と比べて自分がいかに弱いかを痛感しており,その人たちと対等になりたいと願っている。私の息子は,自分もいつかはおとなになるだろうこと,また,私もかつては子供であったことを知って,とても喜んだことを,覚えている。(即ち,)自分にも成功する見込みがあることを悟り,努力しようとしている様子が見てとれた。子供は,ごく幼いころから,年長者のすることを自分もやりたがるものであり,それは人のまねをする習慣によって明らかである」

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