バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

  学問の自由の問題は、それ自体、第一に重要な(最重要な)問題ではないことを私も認める。しかし、学問の自由は同じ戦いの本質的[不可欠]な部分(part and parcel)である。最大の問題においても、また小さく見える問題においても、危機に瀕しているのは、-それが多くの人によって,あるいは,少数の人によって共有されているか、それとも誰によっても共有されていないか、にかかわらず- 人類に対する信念と希望を表現する個々人の精神の自由であることを忘れないようにしよう(肝に銘じておこう)。新しい希望、新しい信念、新しい考えは、常に人類に必要なものであり、それらが生じると期待できるのは、死んだ画一性(均一性)からではない。

I admit, the issue of academic freedom is not in itself of the first magnitude. But it is part and parcel of the same battle. Let it be remembered that what is at stake, in the greatest issues as well as in those that seem smaller, is the freedom of the individual human spirit to express its beliefs and hopes for mankind, whether they be shared by many or by few or none. New hopes, new beliefs, and new thoughts are at all times necessary to mankind, and it is not out of a dead uniformity that they can be expected to arise.
Source: Freedom and the College, 1940.
In: American Mercury, v.50: May 1940, p.24-33. * Original title: Problems of academic freedom.
* This article was originally pub. in May 1940, very shortly after Judge McGeehan's finding that Russell was "unfit" to be a professor at City College, New York.
* Repr. in: (51)Why I am not a Christian, and ..., 1957.
* Repr. in: (66)B. Russell's America, v.1, 1973.
More info.: https://russell-j.com/cool/FC_1940.pdf

<寸言>
 ラッセルは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の客員教授をやめた後、ニューヨーク市立大学の客員教授となって論理学を教えることになっていました。しかし、ニューヨークのキリスト教徒の一市民が、(ラッセルの『結婚論』を読めばわかるように)ラッセルは「不道徳な」人間であり、そういった人間をニューヨーク市民の"税金でなりたっている"大学で雇うべきではないと、(ラッセルを相手ではなく)雇用主であるニューヨーク市高等教育局を訴えました。

 (キリスト教徒である)マクギーハン裁判長は(悪態の言葉を並べた上で)有罪の判決を下しました。これに対し、ジョン・デューイやアインシュタインを始め、多くの大学人が立ち上がり抗議しましたが、判決は覆りませんでした。ラッセルも裁判で証言させてほしいと訴えましたが、被告はニューヨーク市高等局であり、ラッセルは裁判に関係なしとして、つんぼさじきに置かれてしまいました。ラッセルは、「危険な」社会思想を教えるのではなく、論理学を教えることになっていたのに、弁論の機会も与えられませんでした。

 菅総理(当時)が、学術会議から推薦された6名の任命を拒否しましたが、学術会議の会員として任命しなかっただけであり、「学問の自由」を侵害しているわけではないと門前払いにしました。税金(国税)が投じられている事柄に対しては政府(実際は時の少数の権力者)が口を挟む権利があるとの考えです。「バートランド・ラッセル事件」の場合は、一市民の訴えではありましたが、"税金でまかなっている大学”については・・・ということで、似たところがあります。

 1941年に, John Dewey と Horace M. Kallen は共著で、The Bertrand Russell Case を出版しています。英語のウィキペディアにも詳細な記述がありますが、バートランド・ラッセルのポータルサイトにも以下のページに上野正道氏による紹介をのせています。
 https://russell-j.com/cool/Bertrand_Russell-Case.html

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