
![]() ラッセル英単語・熟語1500 |
「自由」は良い合言葉ではあるが、国際的な原則としては十分ではない。ある一定のことをする自由はあるべきであるが、他のある一定のことをする自由はあってはならない。第一に、侵略的な戦争をする自由はあってはならない。そのためには、圧倒的な武力と、ある事例(事態)において侵略が行われたかどうかを迅速に宣言する義務を負った司法機関を備えた、超国家的権威(権力)が必要なことは明らかである。
"Liberty" is a good watchword, but it is not sufficient as an international principle. There should be liberty to do certain kinds of things, but not certain other kinds. Primarily, there should be no liberty to make aggressive war. It is obvious that this requires some supernational authority with a preponderance of armed forces and with a judicial body entrusted with the duty of pronouncing quickly whether, in a given case, aggression has taken place.
Source: Some Problems of the Post-War World, 1943. In: Free World, v.5: Mar. 1943, pp.297-301. * Repr. as 'Problems we will face' in: Treasury for the Free World, ed. by Ben Raeburn(New York, Acro, 1945), pp.31-34.
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<寸言>
これは、第二次世界大戦中の1943年(ラッセル米国滞在時)に Free World 誌に寄稿したエッセイの一節です。
二度と世界大戦を起こさないためには、どの大国よりも圧倒的に強い武力と(国家間の紛争を処理する)裁定機関(司法機関)を持つ必要があることは明らかでした。しかし、戦後できた国際連合は連合国側の5大国に拒否権を持たせてしまいました。5大国が納得しなければ国際連合のような組織を創ることができなかったという事情はあるにせよ、現在のような大国による侵略行為を防ぐことはできないことは最初から明らかでした。
現在は、ソ連の侵略的行為に注目が集まっていますが、(大量破壊兵器をイラクが持っていると決めつけて)イラクを攻撃したアメリカも何ら処罰を受けていません。日本もアメリカの参戦(空爆)を支持しましたが、イラクが大量破壊兵器を持っていないことがわかっても反省の言葉は聞かれません。
プーチンに影響力をもつロシアの某思想家は、「ロシアが勝利するか、それとも核戦争で世界が破滅するかのいずれかだ」と言っていますが、どの国にもこういったことを言う愚かな「愛国主義者」が存在します。
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell