
![]() ラッセル英単語・熟語1500 |
知的にも、恐怖(心)は悲惨な結果をもたらす。異質な意見に対する恐怖(心)があり、それは隣人(身近な人)が愚かな意見を持っているような話題について人がまっすぐに考えることを妨げる。次に、死の恐怖(死に対する恐怖心)があり、それは神学的なテーマについてまっすぐに考えることを妨げる。さらに、自立(自分で決めて自分で責任を持つこと)に対する恐怖(心)があり、それは自分の判断を委ねることができる権威を求めるように仕向ける。このような様々な形の恐怖(心)が、世の中の愚かさの約半分を占めている。
Intellectually, also, fear has disastrous results. There is the fear of any unusual opinion which prevents men from thinking straight on any subject on which their neighbors have foolish opinion. Then there is the fear of death, which prevents men from thinking straight on theological subjects; and then there is the fear of self-direction, which leads men to seek some authority to which they can submit their judgment. These various forms of fear are responsible for quite half the stupidity in the world.
Source: Bertrand Russell : On the Evils due to Fear, 1929
Reprinted in: If I were a Preacher(London, Cassell, 1929), pp.219?-230.
<寸言>
人間の恐怖心には高所恐怖症のように合理的なものと、地獄に対する恐怖のように非合理的なものがあります。
そうして、人間の恐怖心から様々な不幸な事柄が生まれます。
どの国の政府も宗教団体も、国民がそういった恐怖心を抱いて国(政府)や宗教団体等に頼ることを利用することがけっこうあります。「◯◯に侵略されるかも知れない」「原発を最大限利用しないとエネルギー代がどんどんあがってしまう」「老後の余裕資金は3000万円ないとまともな暮らしはできない」「◯◯を信じないと地獄に落ちる」・・・。
正しく恐れ、そういった事態にそなえる必要はありますが、政府や政治家や様々な権力者に頼るだけで自分の頭ではほとんど考えないようでは、実際に不測の事態が起こった時には、ひどい目にあい、後悔することになりそうです。
#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell