
現代の根本的な妄想(思い違い)は -私の考えでは- 生活の経済的側面を過度に強調することである。そうして、資本主義も共産主義も、(人間の)生物学的なニーズを認識(理解)しないことによって失敗することを通して、両者の不十分さを認識(理解)しない限り(認識するまで)、哲学としての資本主義と共産主義との間の争いは終わるとは私は思わない。
The fundamental delusion of our time, in my opinion, is the excessive emphasis upon the economic aspects of life, and I do not expect the strife between Capitalism and Communism as philosophies to cease until it is recognized that both are inadequate through their failure to recognize biological needs.
Source: Bertrand Russell : Sceptical Essays, 1928, chapter 17, p.199 (= Routledge Classic ed. p.199)
More info.: https://russell-j.com/cool/SE_1928.pdf
<寸言>
ラッセル『懐疑論』第17章「信条戦争の危険」(1928年)からの引用です。
資本主義国に住んでいる我々から見れば共産主義国の生活は悲惨に見えますが、共産主義国に住んでいる人々から見れば、(情報が統制されていることもあり)経済格差がひどい資本主義国の生活は過酷に思っている人(主に年配の人たち)がけっこういます。
しかし、資本主義か社会主義かではなく、両者に共通の課題や問題に注目する必要があります。どのような体制であっても、人間の生物的なニーズは変わらないので、そういった要求(欲求)をどうしたらより適切に充足できるかというアプローチの仕方をする必要があります。残念ながら、政治家にまかせておくと、すぐに「それは敵国を利するものだ・・・」とかいうことで、税金は(防衛のためとの名目での)将来の戦争のための軍備の拡張などに費やされ、生活の改善はなかなか進みせん。
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