バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

ラッセル英単語・熟語1500

 あらゆる種類の慣習が(これまで)存在してきており、その多くは人間の本性に反すると思うべきものであることを、我々は発見している(気づいている)。一夫多妻制は、男性の抑圧者が女性に強いる慣習として理解できると、我々は考える。だが、一人の女性が何人もの夫を持つというチベットの慣習(注:一妻多夫制)はどうだろうか? 今のところ(yet)、チベットを旅行した人はチベットの家族生活は少なくともヨーロッパと同じくらい調和していると断言している。

We find that every kind of custom has existed, many of them such as we should have supposed repugnant to human nature. We think we can understand polygamy, as a custom forced upon women by male oppressors. But what are we to say of the Tibetan custom, according to which one woman has several husbands? Yet travelers in Tibet assure us that family life there is at least as harmonious as in Europe.
 Source: Bertrand Russell: Sceptical Essays, 1928
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<寸言>
 人間の場合、出生率は男性のほうが女性よりわずかに多いけれども、死亡率は男性のほうがわずかに多いので、戦争などによる死者が多数でなければ、男女比はほぼ1対1になると言われています。
 強い者が支配した時代においては、権力者が多数の妻(正妻と側室)やめかけを持っており、多数の子供を持っていました。ちなみに家康は16人の子持ちだったとのことです。日本でも大正時代までは、権力者や富裕層はめかけをもっている人がけっこういました(渋沢栄一も)。
 しかし、現代においては、民主主義国では一夫一婦(一夫一妻)制をとっており、複数の妻(あるいは夫)と「結婚」すると重婚罪に問われてしまいます。天皇家でさえ、現在は一夫一婦制に従っており、側室はもっていません。
 そんな我々から見ると、チベットの一妻多夫制(いっさいたふせい/ polyandry)は奇異に感じ、どうしてそのような制度をとっているのか疑問がわきます。それについては、次の論文が参考になりそうです。(なお、一妻多夫制にはいろいろなバリエーションがあり、チベットの場合は「兄弟型一妻多夫婚」が主流とのことです。それを許容したくない中国政府は否定しているそうですが・・・。)

 六鹿桂子「チベット族における兄弟型一妻多夫婚の形成理由の考察」
https://www.lang.nagoya-u.ac.jp/bugai/kokugen/tagen/tagenbunka/vol11/12.pdf

 見出しをあげるだけで、兄弟型一妻多夫婚の慣習がなぜ根付いているのか、大体想像がつきます。

 「兄弟型一妻多夫婚の形成理由」
  A.経済的な理由ー チベット高原の不毛の荒れ地で貧しさに耐えるため
   1.家産(お金や土地)の分割防止
     ・チベット族は均分相続(長男が家督をつぐ方式にあらず)
     ・息子達がそれぞれ妻をめとることにより財産が目減りすることを防ぐ
   2.労働力の確保
     ・農作物の収穫だけで家計を支えているのではなく、働き盛りの男性は遠隔地へ出稼ぎ
     ・夫が長期間不在となる家庭では、妻に大きな負担がかかる。そこで一妻多夫婚をすることで、もう 1 人の夫が家を守るため、妻は安心かつ現金収入が入るので、経済的にも豊かになる。
   3.婚資(結婚資金)の負担軽減
     ・兄弟それぞれに妻を迎えると、その妻の数だけ婚資が必要となり、貧しい家にとって婚資を用意することは大変

  B.精神的な要因
   1.兄弟の精神的な結びつきの強さ

     以下略 

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